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2018年01月02日

第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」

第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」

「んなま to んきゃーん」の新年第一回目は、干支にちなむには一年遅かった、与那覇湾のラムサール条約のプレートです。ちなみにこれを取り上げるまで、ラムサール条約は湿地(や干潟など地形的に特殊な環境)に関する条約だと思い込んでいました。ラムサール条約の正式名は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」というモノで、湿地に棲む水鳥を軸にした生物に関する条約です。条約名のラムサールは条約が制定されたカスピ海に面したイランの都市、ラムサール(ラームサル)にちなんでいる。
余談として、今年の干支にちなむ石碑の話なら、こちらをぜひ!。
第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」
2012年に与那覇湾がラムサール条約に登録され、それっぽいモノ(登録を記念する碑)は、どこかに作られているのだろうかと気になっいたのですが、残念なことに石碑ではなく、プレートでお茶を濁されていました(ちょっと安っぽいプレートなので、颱風とかで破壊されないことを祈ります。その点、石碑なら何の心配もいらないんだけど)。
設置場所は与那覇湾に面して設けられたサニツ浜公園の中です。目印は連載100回記念でも紹介した宮古馬の巨大モニュメントの近くです。

第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」ラムサール条約に登録された与那覇湾の湾内は、沖縄県内でも有数の干潟で、シギやチドリの仲間を中心とした多くの鳥たちの渡りの経由地、あるいは越冬地となっています。また、絶滅危惧ⅠA類のクロツラヘラサギ、絶滅危惧ⅠB類のクシガモ、キンバト絶滅危惧II類のサシバ、セイタカシギ、アカアシシギがが確認されています。そのため与那覇湾及びその周辺がラムサール条約(日本の重要湿地500にも選定されている)に登録されています。ちょっと面白いのはこの“周辺”。どういう訳か湾の最深部にあたる製糖工場付近の上地や、久松として隣接した集落である久貝は範囲外となっている不思議。

この与那覇湾はかつて島の水不足を解消するために、淡水湖化計画があった場所でした。1973(昭和48)年に大きな旱魃がおこり、これをきっかけに与那覇湾の淡水湖化の構想が持ち上がりました。しかし、1981(昭和56)年9月に反対運動が起き、1983(昭和58)年に計画は中止となり、地下ダム事業に継承され日本初の地下ダムへと推移します。
もし、この時、もし与那覇湾が淡水湖になっていたらラムサールのラの字もなかったことでしょう。
第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」
それでも与那覇湾はちょっとずつ姿を変えています。たとえば宮古島市下地庁舎(旧下地町役場)は、この一帯(池原)の浅瀬を埋め立てて造成された土地に建てられています。また、かつては川満大殿によって作られた加那浜橋(上地付近に作られた、長さ約623メートルもの今でいう海中道路。雍正旧記より)あたりは国道の拡幅改修により護岸されています。サニツ浜「海岸を全施設整備事業」として、コンクリートブロック張りの階段式堤防に作り替えられてしまいました。
どことなくですが、周辺の集落も海から遠くなってしまった感じがしてなりませんが、与那覇集落のはずれにあるトマイ(泊)御嶽周辺は、まだ埋め立てなどされていない天然の湾の姿が見られるエリアがあります(市指定の天然記念物であるトマイ御嶽の植物群があります。また、宮古では唯一と思われる天然のサキシマスオウの木がありますが、こんな記事を見つけて衝撃をうけるのでした「平成28年度に枯死が確認された」)。
第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」
なかなか面白いの看板がこのラムサール条約登録のプレートのそばに建っています。合併前の下地町時代に作られた「長崎ふれあい歩道案内図」です。このサニツ浜から与那覇湾の西側を閉める西浜崎の先端を回って、海岸沿いに東急リゾートの手前(正確にはかなり手前の前山の「明和大津波之碑」があるところ)まで、遊歩道があります(たまーにどこから入り込むのか、軽トラがやってきたりもします。もちろん道路ではないので走ってはいけない場所)。
その半島の途中には、海水浴場とテントが描きこまれたバーベキュー施設があることにもなっていますが、半島の内側からダート道を林の奥へと進むと、確かにそこには施設らしきものがあります。しかし、破損したまま荒れ放題になっており、まともに使えるような状態にはありません。
ところが逆にこの手つかずになって放置されている場所が、特に対岸の松原の森が圃場整備によって切られてしまったため、この界隈では唯一に近いサシバのねぐらとなっています((南への渡りの途中、一夜の止まり木)。
第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」第167回 「ラムサール条約登録 与那覇湾」
そうそう、与那覇湾では昔、海ブドウ(クビレズタ)が大量に採れたそうです。サバニに海ブドウが山積みにされた白黒写真を見たことがある人も多いのではないでしょうか。これは与那覇湾の沿岸部には多くの湧水が多く湧いており、水深が浅く珊瑚礁の海ではない泥の海は海ブドウの生育環境であったようです。現在は養殖が盛んになっていますが、与那覇湾に天然の海ブドウはあるのでしょうか?。

【参考資料】
エコの島コンテスト ラムサール条約湿地「与那覇湾
ラムサール条約登録湿地関係市町村会議 与那覇湾
閉鎖性海域ネット 与那覇湾




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