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2017年03月24日

金曜特集 「宮古口見聞録"~みゃーくふつけんぶんlog」(1)

金曜特集 「宮古口見聞録~みゃーくふつけんぶんlog」(1)

宮古島に移住して早15年。いまだに宮古口(ミャークフツ)が聞き取れないし話せない。こんな私、川上良絵が2週にわたってお送りする宮古の不思議な言葉たち。勝手な考察や空想を交えながら魅力を紹介していきたいと思います。

金曜特集 「宮古口見聞録~みゃーくふつけんぶんlog」(1)

早いもので3月ももう終盤ですね。この時期は卒業や入学、就職、異動や転勤など、人生のターニングポイントを迎えている方もたくさんいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、宮古から旅立つ子供たちや内地から宮古に移り住む方々が、知っておくと得するほどではないけれど無駄に摩擦を生まなくて済むための宮古独特の言い回しや表現を紹介していきたいと思います。
※私個人のリサーチに基づいているので、訂正が必要なところがあったら教えてください。

まずは、言葉の使われ方が独特なもの・・・。

【狭い】
これはスペースだけではなく洋服や靴がきついときにも使う。「この靴狭い」などと使い、「きつい」は「身体がキツイ」など疲れたときに使用。

【つける】
洋服を着たり履いたりするときに使う。「ズボンを着ける」、「シャツを着ける」。

【甘い】
味が薄いこと。内地でもこのように使う場合があるが、宮古ほど使われていない気がします。

【研ぐ】
体をゴシゴシ洗うこと。介護の仕事で「背中もっと強く研ぎなさい」と言われたときには、包丁やお米以外で「研ぐ」という言葉を使うのか!と驚きました。
ちなみにバスタブの無い家庭が多く、広い浴室にシャワーと洗濯機と洗面台があったりします。そして宮古は硬めのナイロンタオルでこする・・・いや、研ぐのが好きな方が多いように感じます。
金曜特集 「宮古口見聞録~みゃーくふつけんぶんlog」(1)
【のびてる】
湿気ってること。「このせんべいのびてるよ」。
おそらく麺類に使う「伸びる」から用途が広がったと思われますが、沖縄のせんべいは米粉ではなく「亀の甲せんべい」や「塩せんべい」等のように小麦粉が主原料のものが多いことと関係しているのでしょうか?謎です。

【蚊に噛まれる】
蚊に刺されるの意。ここ宮古島では一年中蚊に噛まれます。

【来る】
「行く」の意。「今から来るから~」と言われると「誰が?」となりますが、その人が来ます。英語の「I’m coming」と同じ使い方なのでしょう。自分が話し相手のほうに向かう場合は「go 行く」ではなく「come 来る」を使うわけです。
余談ですが「来るまで待ってて」は「車で待ってて」と間違えやすいので要注意です。
「え?車の中で待ってたほうが良いですか?外で?」などと言うと「アガイ~~っ!?」と怒ったような呆れたような顔をされること間違い無しです。せっかく好きで住んでる宮古島。無用な摩擦は避けたいものです。

【アパート】
集合住宅全般を表すことが多いようです。住宅のカテゴリーとしては、一軒家かアパートか団地の三種類に分かれているようです(不動産屋的ではなく、一般的に)。
日常会話でマンションという言葉はあまり聞いたことがありません。友人に「共○マンションはマンションだよね」というと「あれは共○マンションという名前のアパート」という驚愕の返事が返ってきました。
そもそもマンションは和製英語で、語源となったmansionというのは海外では豪邸のことを意味するそうです。となると英語のアパートメント=共同住宅の意味が忠実に残っているのが沖縄やここ宮古なのかもしれないですね。
というわけで「あんたはどこのアパートに住んでるか?」と聞かれても決して貧乏人扱いされたわけではないので気にしないでくださいね。
金曜特集 「宮古口見聞録~みゃーくふつけんぶんlog」(1)

続いては読み方が独特なもの。

【小文字】
しょうもじ。
「a」はコモジではなくショウモジと読む方が多い。では「A」など大文字はダイモジ?と思えばオオモジとのこと。小学校でローマ字を習うときからショウモジのようです。

【御祝儀】
おしゅうぎ。
始めは聞き間違いかと思いましたが、確認すると半分以上の方がやはりオシュウギと言ってました。ゴシュウギのほうが少数派のようです。中には「両方言うよ」と言う方も。
宮古では命名(ナーフィ)・入学祝い・合格祝い・卒業祝い・成人祝い等お祝いごとが多いのでお祝儀袋は欠かせません。

【一人一人】
ひとりびとり。
宮古の年配の方がよく使われます。調べるとヒトリヒトリもヒトリビトリも両方辞書にありました。しかし天皇陛下のお言葉でも「国民ヒトリビトリが~~」とあったので、こちらの方が古語なのでは?と推測し旺文社の古語辞典で調べたらビンゴ!「ひとりびとり」だけが載っていました。宮古の言葉には古語が現在も生きている!とワクワクしました。

【日にち】
1日→ついたち
2日→ふつか
3日→みっか
ここまでは至って普通です。
独特なのはここからです。

4日→よにち  7日→しちにち
5日→ごにち  8日→はちにち
6日→ろくにち 9日→くにち

10日→とうか。
あら?10日はトウカなんですね。
そして14日→じゅうよにち、24日→にじゅうよにち、となります。
「じゅうよっか・にじゅうよっか」と言うと、友人曰く「内地の人って感じ」だそうです。なるほど。

【ピンクい】
読み方ではないが“ピンクい”というもの面白い言葉の活用ですね。
青→青い
赤→赤い
黄色→黄色い
そして。。。
ピンク→ピンクい。

外来語に形容詞としての「い」を付ける言葉が他にもあるか考えてみると「ナウい」「エロい」「グロい」等が思いつきますが、いずれも2音+「い」で、なかなか3音+「い」は思いつきません。「ソフトい」「ライトい」と無理やり造語してみても語呂が悪くてとても使う気になれません。
でも「ピンクい」は使用頻度も高く使い勝手が良いのでこんなに定着したのでしょう。このように外来語に対して柔軟に活用する宮古の人々に懐の深さを感じずにはいられません(関西でも使うという情報もあり)。
金曜特集 「宮古口見聞録~みゃーくふつけんぶんlog」(1)
【ピンクいミキ。米粉を溶いた粘性の強い激甘な飲み物。食紅が白い米粉と混ざってピンクになっています】

最後はあいさつ編。

【あとでねー】
別れ際に使います。「その日のうちにまた会おう」ではありません。「また今度」くらいのニュアンスです。
「すみません。今日の午後は用事があるので」などとと返すとキョトンとされます。

ではまた来週に続きます。
あとでねー!

その2はコチラ

【ライタープロフィール】
川上 良絵~かわかみ よしえ~
神奈川県出身。ふとしたキッカケで宮古島に移住し15年目。
介護の仕事をしつつ、書店や小学校などで『おはなし会』を主宰しています。
絵本や宮古民話の読み聞かせの他、紙芝居や切り紙、ミャークフツクイズなど盛りだくさんな『おはなし会』です。
参加費無料です。ぜひせび、遊びに来てくださーい!

『おはなし会』スケジュール ※どちらの店舗でも、およそ30分ほど。
◆TSUTAYA宮古島店
  毎月第4日曜日 午後4時から
◆ゲオ宮古店
  毎月第1日曜日 午前11時から

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