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2019年05月31日

log20 「変わりゆく宮古、変わらぬ心」

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皆さまこんにちは!
前回では、交通弱者の叫びをお届けしましたが、無事に沖縄県の運転免許センターからお墨付きをいただき、車の運転を再開することが出来ました。
これでスコールのような雨も、うだるような暑さも 怖くありません。
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しかし、最近の宮古島は交通量が増え、事故が多発しているので、これまで以上に運転は気をつけなければ、と肝に命じてハンドルを握っています。

交通量が増えた要因としては、増加の一途をたどる観光客のレンタカー、島のそこかしこで行われているさまざまな工事関係の車両、そしてこの春、大勢の移住者が来島したことなどが考えられます。年度始めの市役所では、転入手続きをする大勢の人たちでごった返していたそうです。

楽しみな要素も不安な材料もてんこ盛りの宮古島。
これからどこがどう変貌していくのか、まだまだ目が離せません。ここ数年で宮古島の日常もずいぶん様変わりしました。
数年前まではどの飲食店も予約無しですんなり入れ、満席で並ぶことなんて、行事が重なった、たまの和風亭とジョイフルくらいしかありませんでした。それが今では観光客に押し出されるようなかたちで、昼食ジプシーになる地元の方も多いのではないでしょうか。

果たして、この小さな三角島は、右肩上がりで急増する島民や、うなぎのぼりで増えている観光客の胃袋を支えていくことは出来るのでしょうか?。
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島で生産されるもの以外は、ほぼ船便頼みの離島です。
そしてその船便の運行は天候に大きく左右されます。台風時はスーパーの食料品の陳列棚はスッカラカンが定番の光景になりました。これからはますます食料争奪戦が激しくなるでしょう。

そんなことを考えていて、ふと浮かんだのが宮古の子守唄「ばんがむり」の歌詞です。

大芋(ウプンム)やちかばりやあす°だまな
小芋(イミンム)やちか 一個(ピス°トウスウズ)だまな

(大きな芋だったら分けて食べましょう。小さい芋なら1個ずつ食べましょうね)

大(ウプ)だくやちか 一手(ピス°とて)だまな
小(イミ)だくやちか 一匹(ピス°トウカラ)だまな

(大きなタコだったら足を1本ずつ、小さなタコなら1匹ずつ食べましょうね)

現在100歳近いのオバア達に聞いた話だと、昔のお母さんは畑仕事などで忙しいので、近所の「ねえや」が赤ちゃんの子守していたそうです。
ここの子守唄は、そのおんぶしている幼子に姉やが唄った歌詞です。
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【ばんがむり(子守唄) 曲はこんな感じ・・・YouTube(友利栄次 『生り島ばが想い』より)】


最近は全国区のニュースでも宮古島バブルを取り上げられることも多く、経済的な豊かさと引き換えに自然や大事な何かがすり減っていくように感じていた私ですが、この唄をふと思い出し、宮古の人達は、貧しい暮らしの中でも少ないものを分かち合う豊かな精神性を持ち合わせていたのだなぁ、と胸のすく思いでした。
景色は変わっても人の心はそう簡単に変わらないものだと信じたいです。
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さてさて、前置きが長くなりましたが、令和初となる「宮古口見聞録"(みゃーつふつけんぶんlog)」、スタートです!。

昨年の入院中のことです。
ある朝脳梗塞になり、救急搬送され、最初はICU、その後は個室、さらに元気になって4人部屋に移りました。
4人部屋では窓側だったので、廊下に出るときは同室のオバアのベッドの前を通ることになります。その度によく、お見舞いでもらったバナナやお菓子をくれようとするので「せっかくだから○○さんが食べたら?」と言っても「バタゴーゴー」「自分には硬くて噛めんよ」とオバア。

【ばたごーごー】
お腹いっぱい。
「ばた」はお腹。「はら」が語源ではなく、ハラワタの「ワタ」が語源。

「ばた」つながりでもう少し。

【ばたふさり】
腹が立つ。
「ふさり」は「腐る」はらわたが煮えくりかえる。
本当に!イライラ怒ってばかりだと身体に毒ですね。

【うぷばた】
大きいお腹。
「うぷ」は「大きい」。
ちなみに、そのときのお菓子は雷おこしでした。確かに雷おこしはくぱーくぱですね。
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【バタ~佐良浜漁協にあるカツオ解体パズル。アギヤー漁のジオラマや古い漁具等を展示。平日昼間のみ見学可。無料】

【くぱーくぱ】
硬い。
対義語は、「やぱーやぱ」。柔らかい。
そういえば「やぱーやぱサンド」という焼き菓子が島の洋菓子屋さんにありますね。
このように病院の中でもオバア達はバカムヌにあれこれ食べさせてあげようと親切なのでありました。

【ばかむぬ】
若者。
決して「馬鹿者」ではありません(笑)。
「ばかーばか」は、「若い」です。
40代後半の私でも、一般病棟の中ではかなりの「バカムヌ」でした。

入院仲間だったオバアも、やがて退院の日を迎えます。まだ病室に居残る私に「アンタもきっとすぐに退院よ。退院したらオバアの家に遊びに来なさいねー」と、どこまでも優しいのです。
「オバアの家は××小学校の東だから。来たら分かるさ」と個人情報も全開です。

けれど、方向オンチの私としては「どこどこの東側」と言われても皆目見当がつきません。
ところが、宮古の年配の方々はどこにいても方角が判ると言うから驚きです。
さらに普段行かないところにいても、東西南北が判ると言うのです。不思議!そして羨ましい!。
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年末。私もめでたく退院となりました。

迎えに来てくれた夫と、病院の1階で会計待ちをしていると、職場(リハビリ施設)の利用者さんと久しぶりにバッタリ遭遇。
「どうしてずっと見えないか?」と聞かれ、脳梗塞で入院していた旨を話したら「これアンタが使いなさいねー」とご自分の杖を差し出してくれたのです!
「ありがとうございます!気持ちだけでジョウブンですよー。足は元気。グシャンは使わないでも歩けるんです」と、有り難くお気持ちだけいただきました。

【じょうぶん】
充分。
日常で頻繁に登場する言葉です。

【グシャン】
杖。
これの語源は何でしょうね~?。

宮古はたくさんの良いところがあるけれど、一番の魅力は人じゃないかと思います。
風景は変わっても大切なものは変わらないことを祈ります。

ではまた。
あとからね~!。

【ライタープロフィール】
川上 良絵~かわかみ よしえ~
神奈川県出身。2002年、宮古島に移住。
介護や学童クラブで仕事をしつつ、書店や小学校などで『おはなし会』を行う。
2018年11月、脳梗塞発症。現在は仕事復帰を目指して元気に自宅療養中。




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