2016年01月03日
[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](http://img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/20160101.jpg)
ATALASネットワークの新春企画として、東京と宮古島をskypeで結び、2015年のATLASネットワークの活動を振り返りつつ、2016年の展望のようなものを、『新春放談2016』のようなものをやってみました。お年玉にはほど遠い、ぐだぐだなトークですが、初笑いとしてお楽しみいただければ幸いです(本企画の説明趣旨については、新春放談2016 ≪序≫をご覧ください。≪前編≫はコチラ)。
【出演者】
[メインMC] 宮国優子
[ゲスト壱] Koitaro YASUNAKA(沖文研・宮古研究会
[ゲスト弐] 江戸之切子(沖文研・宮古研究会)
[アシスタント] モリヤダイスケ
くわしくは新春放談2016 ≪序≫をご覧ください。
ATALASネットワークpresents
新春特番『新春放談2016』
≪後編≫
新春特番『新春放談2016』
≪後編≫
K「じゃあ、6月のことに行きましょう」
切「まったく覚えていません……。いえ、思い出しました。宮古で講座をしましたね」
K「(宮古の女性一級建築士の)伊志嶺敏子さんと、(東京の女性一級建築士の)鈴木香織さん建築の宮古今昔」
モ「6月開催のみゃーく文化センター講座は、年度が替わって、『2015年度みゃーく文化センター 第1回・第2回講座』として6月13日、14日と連続開催しました」
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](//img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/eco1st.jpg)
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](//img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/kuro1st.jpg)
K「(市街型)エコハウスと、(大正時代の宿、)黒門町。エコハウスは風がないとさすがに暑い!」
切「でも、普通の家屋よりだいぶ涼しかったですよー。それに内装も素敵だった!」
K「この講座をきっかけとして、宮古の高校生と接点ができたという点が大きい」
優「そうですね。宮古の高校生はすごく素直だなぁと思いました。先生方が教えてくださるいろんな事例に感動して、講座が終わってからもずっとおしゃべりしてた」
モ「なんというか、ある意味。すれてない。云い方悪いけど、幼い。そんな感じだからとても素直だった。あと、WS(ワークショップ)は面白かった!」
K「ここから(高校生たちと)アメーバ状に、『島旅君』と連携して有機的に広がっていった」
モ「ホスピタリティが養われているって感じ?。これは大人になっても残っていると思うけど、素直さは高校生にはかなわないかも(笑)」
切「宮古の子から学ぶところがたくさんありますね」
優「うん、そうだね。歴史の事を話すと、自分に関係ある事はすごく身を乗り出してくる」
モ「夏休みはホント、島旅君にあけくれましたね〜」
優「子どもたちの生活と、親の仕事とか、消費の感覚とかが島ではリアルなんだと、実感しましたね」
K「それはどんな感じ?」
優「例えばサンエーで売られているお惣菜でも、誰々のお母さんが作ってるんだよね、とか。だから残さず食べようぜ、的な…。天ぷらとか、まさしくそうじゃんね!道路も、誰々の父ちゃんがアスファルト敷いてる、みたいな(笑)。一人の背後にはたくさんの人がつながってるってことを、はっきりと判っている。人を無用に切り捨てないのは、そういうことだと思うな〜」
K「その後の島旅については?」
優「あまりにも予定通りいかなくて、びっくりした。高校生たちは本当に忙しい。学校っていうよりは、保護者の紹介が増えましたね。宮古の人は、心が動くと早い。動き出してから、メインのページがどんどん決まってきた。宮古の人は、心が動かないと絶対動かない(笑)」
モ「あれれ、ちょ、ま…いつのまにか仕切りが変わってない?。ま、いっか〜(笑)」
切「宮古の人は、心が動かないと絶対動かない、は名言!」
優「関連するかどうかわからないんですが、一度、宮古の文化活動に協力したい、という話で、ある宮古の集まりに顔を出したんですよ。仕事が終わってかけつけたので、かなり遅い時間だったんです。その人も宮古に住んでいないので、久しぶりにオトーリにまみれたようで、会ったときには完全にできあがったいたんです(笑)。議論から大ゲンカになりました。その人たちは宮古に住んでいないけど、やっぱり応援したいんですよね。その気持ちはわかるけど、あまりにも排他的なので久しぶりに大泣きしました!ね、現場に一緒にいた切子さん!」
切「“実録宮古島の夜”ですよ」
優「この時期は、内からも外からも責められ、死にたいと思ったわ(笑)。一見、怖いやり取りやアプローチになってしまうんだけど、ほんと、みんな真剣。外からは理解しづらいと思うけど。みんな『俺に何ができるだろう』という気持ちは強い。でも、外の人とはやりたくない、純粋な宮古の人だけでやりたいとおっしゃってた。女で、年下がやってんじゃねーよ、的なことも云われ、キレた(笑)。俺のまわりの女はみんな優しいし、そんなことはっきり云わないって、最後は訳がわからんかったけど(笑)。宮古の女は世界で一番強いの!」
切「初対面。でも近い(笑)。そして熱い!」
優「島の文化をいろんな人にさわってほしくない、ましてや、ナイチャー連れの私には目が厳しかった。ほとんどハブとマングース状態!」
切「試されてる感じでしたね。真剣勝負」
優「そこで、すかした態度をとると次がない。真剣じゃないじゃん、やっぱり、みたいな」
切「社交辞令はいらないのねー」
優「そうそう、たぶん。今度、会っても、またモメるけど、そうやってお互い頑張っていける。全然後腐れはない。今の時点でいう、意見の違いだから。こういうやり取りがマッチョなんだよね。宮古のマッチョって言うと物議をかもすけど(笑)。これは以前、別の現場で、某Neeさんがやりこめられた(笑)。まぁ、宮古は全体的に文化系が弱いんだよね。ものを云わないと思ってる」
モ「文化力」
切「文化自体はとっても深くて濃いのに」
優「でも、今は違う潮流が来ている気がします。マッチョも文化系も歩み寄ってきた。はたからみたら、喧嘩しているようにみえるけど(笑)。どれだけ揉めても、一度共通のテーマが決まるとみんな俄然燃えるから」
K「では、今年を迎えての抱負などはいかがですか?」
優「文化資本は山ほどあるのに、あまりにも当たり前すぎて、生活に根ざしすぎて、大事だとは感じないのではないかと思うんだよね。これは沖縄県文化振興会の遠藤さんが雑談で云っててなるほどな、と思った」
切「資料のアーカイブの必要性も感じます?」
優「そうね、高校生たちが興味を持ったときに、すぐに提供できる場が必要だなと思う」
K「そういえば(最初に)サツマイモの伝播(した場所)が宮古島だということも知りました」
優「高校生たちも聞いて喜んでました。明日から“宮古芋”と呼ぼうぜ、って(笑)。そういうのをどれだけ面白く伝えていくかが問われていくと思っているんです。できれば、来年は『島旅君』では、そういうことがやりたいかな〜」
K「若者が、喰いつく仕組みづくりも大事ですね」
優「こっちも勉強しなきゃだけど(笑)。自分を取り巻く文化や歴史、アーカイブへのシンパシーもどんどん広がって行くと、いいな。宮古はなかなか資料にいきあたれないから」
切「宮古島に限らず、文化を記録したり保存したりすることによって、余計に失ったり傷つけられるものもあって、そこが難しいところ」
優「だからこそ、流行、というか『流れ、ストリーム』を底上げしていくといいと思うんだよね。それには、やっぱり、(ATALASは)文化祭か(笑)」
K「つまりはマスにいくかコアにいくか、このバランスが問われていると感じるんですよ」
優「コアからマスに撃つ、が宮古だと思う。迎合しないと決めているわけではないけど、濃いんだよね、キャラ。下手に傷つけないようにしながら保存しなきゃいけない。勝手にこっちが大事だときめつけるのは僭越という感じもある。ATALASは、面白い資料を若い人たちに提供するってことが主だと思う。だからこその祭りのような流れじゃないかと思う。2016年の新しい“お祭り”として加えてほしい(笑)。宮古研究会の皆さんも、外からの刺激でいてほしい」
K「(祭りが)できないから悩むのでは?」
宮「うーん、繰り返しになるけど、情報が少ないからじゃないかな。若い人たちは、今やテレビとかだけじゃなく、スマホを通じて、情報を得ていくから。そこでやっぱりどんどん提供していける仕組みが必要じゃないかな、と」
切「何もしなくても、どんどんと消えて行くものがありますしね。切迫した現実がありますよね。島の人の思うようになることがいいと思うし、どう思うかみんなで話し合う機会があればいいのですが…」
優「宮古的な抽象的カオスを、本土の人や県内の違う地域の人が知ってくれることが、まずは第一歩かなと思う。すべては言語化できないし。言語化すると、失われるものもあるとも思うんだよね」
モ「自分を含めて、島の外の人は、基本、島の(様々な)事象については、(突っ込み役として)あーだーこーだ云う。でも、(アナタの島のことなんだから、)島の人が(最後)決めれ、と」
切「都会人はカオスを受け入れないですから。反省」
モ「(島人たちが)決めたのなら、従う。そういうスタンスが(自分の)基本」
優「言語化して対立するより、あえて時間をともに過ごす事に大事さを見いだしたい。宮古の高校生はそれはそれは上手だよ、ホスピタリティあるし。講師の先生たち、いつも感動してるよ。それを「島の人がきめれ」はたぶん乱暴。なら、いるんじゃないよ、ナイチャーって思われる。一緒にに話そうよ、だと思う。話さなくても、時間を過ごして、ゆっくりわかることもたくさんある。特に島は」
モ「いや、島ことは島の人が決めるべき。でも、あんなこともあるよ、こんなことも出来るよ。そういうことを持ち込むのが、ナイチャーの役割(だと思っている)。それを感じて、考えて、活かして、一番いい選択をしてくれたらそれでいい。でも、外野(ナイチャー)がピーチクパーチク云っても、聴いてくんない(笑)」
優「いや、違うよーーーーー。モリヤさんのいう外野の云い方が、島の人に判る云い方じゃないんだよ。だから言葉じゃない、って思うんだよ。一緒に過ごして、そこから相手を知っていく事。簡単に人を判断しないって決めればいいんだよ。高校生たちはその点、自然だったよ」
切「外野だから、ナイチャーだから、と思ってしまいがちだし、そういう面も確かにあると思うけれど、突破する力を求められているんじゃないでしょうか」
優「時間にケチケチしてつきあうと、島の人は判ってしまう。心がないなーと。いや、もういらないんだよ。持ち込みはいらない。心がある人だけと一緒に島の未来を語りたいって、宮古の若い人たちは思ってる。それがひしひしと伝わってきた一年間でした。(だから、)関係ない人は島にいないという認識で、高校生は素直なんだと思う。みんなつながってるから思いやりが自然」
切「モリヤさんはもう島の人なんじゃないですか」
モ「いやいやいや。やっ中学生ですよ。義務教育も終わってません(やっと宮古在住15年目という意味)」
K「永遠の中二病(笑)」
優「宮古はここで終わり、っていう人間関係はない。全部、つながっている。だからこそ、その人の真意、真剣味を試される。今の宮古の状況は多勢に無勢。地元5万に対して、観光客50万人はインパクトが大きい。だから、島の事は島できめろといわれると、逆に無責任に聞こえる。じゃ、来るなよ、になりやすいんだよ。心ある人とつながろうとしている宮古人も多いし、今やっと萌芽が見えてきたような気もするのに」
モ「そっちじゃない(笑)。地元5万に(対して、)在住ナイチヤーの構図として話してた。観光客はまったく別モノ。だからちょっと話が噛み合ってなかったのかも(笑)」
優「在住には厳しいんじゃないかなぁ〜。それこそ、真剣味。あんた帰らないよね、的な(笑)」
モ「だから、四の五のは勝手に云わせてもらってるけど、島の(将来の)ことは島の人が決める。だって(俺ら)住まわせてもらってるんだもの(笑)。あ、物理的にもう10年以上、東京(故郷)には帰ってないけどね(笑)」
宮「いや、あんたもう島の人だから(笑)」
切「島ナイチャーの苦労があるんですね」
優「島の人が薄まりつつある時に、意外と力をもつのが外。いまや、私よりよっぱどモリヤさんの方が島の人。こんな宮古の歴史を知っているナイチャーのおっさんはいない!」
切「モリヤさんがんばれ!」
優「個人と公の観念が、(島では)違うことを、外の人に知ってほしいな、と思う。民謡でも歌って。昔から宮古の人は、“うぷゆ“とかいって、世の中の話ばかりしている。どうやったら支え合って生きていくか、とか」
切「ゆーやなうれ♪ さーさー」
モ「そうそう。『世や直れ』は、1980年代の宮古文化の隆盛期。今のそうそうたるメンバーが、色々とかかわっていたらしい」
優「今のそうそうたる、って誰?」
モ「少しうろ覚えもあるけど、仲宗根將二先生、下地和宏先生、伊志嶺亮さん、奥平一夫さん、佐渡山安公さん、与那覇淳さんなどなどかな…」
優「うん、了解。あと、宮川耕二さんだね」
モ「そうそう。ゆーやなうれ、熱かった」
※2012年11月10日 復帰40周年シンポとして「宮古のアイデンティティーを求めて」という講演が催された。
優「これ、おもしろいよね。一口で観光客、外の人って云っても、実際はいろんな分野でつながっている。釣りとか、音楽とか…同じ趣味の人が何度も(やって来て、島で)人間関係を作ってリピートしてる。宮古ファミリー的です。それが宮古の人が思う“ゆう”なんですよね」
切「そう云えば、フェリー(船)の名前が、“うぷゆう”、“ゆうむつ”、“たらまゆう”だった。いい言葉ですねぇ」
モ「“ゆう”をもらうの“ゆう”だよね。“うぷゆう”は『おおきなゆう』。“ゆうむつ”は?」
優「そうっすね、豊穣?幸せ?」
優「(ゆうむつは、)世を持つ、かな。『ざーむつ』という言葉があって、座持ちだから。その感覚に近いんじゃない?みんなで支える、作る幸せ的な」
モ「“たらまゆう”は『多良間世』だと思ってた」
K「(笑)」
切「民族文化映像研究所の故・姫田先生が、『世(ゆう)』という言葉は、沖縄の精神世界を表す素晴らしい言葉だと仰っていました」
モ「難しいのは、大和世、アメリカ世とかと、字が同じなので、色々と混同してゆく」
優「さっき言った時間を共有ってことにつながると思うよ。同じ言葉でも全然違う。日本語ではこうで、宮古ではこうで、って使われている言葉の意味を確認していく。それはね、時間がかかる。特に抽象的なものについては。その謎を解明するには宮古固有の精神性を語ることになる。モリヤさ〜ん。このあたりでうまくまとめられそう?」
モ「まとまるのか〜展望とかって、なんかあった?」
優「あと展望か!」
モ「それにしてもこの実験的に企画してみた『新春放談』。まー、座談会的にといいつつも、なんかマニアックっぽい話とかも出たりしてなかなか面白い。もう少しうまく構成すること出来たら、ラジオとかデジタル配信できそう。。。沖大でちょっこっとやった、朝まで生テレビ的な(笑)。あ、ここは野望ね」
優「宮古研で読書会、情報交換会するって案もあるみたいです。全員参加できなくていいから。いろんな年代が集まって、宮古の高校卒業生もかかわってくるし、楽しみ!」
モ「あ、こういう風にネットも活用しとけば、誰でも参加できるね!」
切「今年はみんな仲良くね!(笑)」
優「もちろんATALASブログも続けましょう!昨年は、ATALASとしてはこどもたちのことをどこまで書いていいのかわからなかったから、あんまり更新していなかった。反省してます。なので、一方的に宮古研の皆さんにお世話になりました。蓄積はできたけど」
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](//img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/tandi-s.jpg)
モ「はい。Blogも続けましょー!。できれば、もう少し書き手を増やして更新回数を多くしたい」
優「えー、では。ATALASは『ざーむつ(座持ち)』でいきましょう。『ゆうむつ(福を呼んで、福を与える)』目指して!」
モ「オッケーでーす!」
優「さまざまに支援してくださった、沖縄県文化振興会の方々、冊子作りや講座に関わってくださった講師の方や、宮古研究会のみなさま。昨年は多岐にわたり本当にありがとうございました!。本年もまた、ATLASネットワークにかわらずのご支援とご愛顧を賜り下さるよう、みなみなさま、何卒よろしくお願い申し上げます」
いかがでしたでょうか。ATALAS Blog初の試み、それも三日間に渡ってお届けした新春特番の「新春放談」。
この記事はスカイプとチャットで東京と宮古を結び、テキストライブ(トークライブではなく文字によるライブという意味の造語)で生み出されたものです。ナマの声、リアルな感覚での丁々発止のやりとりは、送り手としてもとても楽しく作りあげることが出来ました。
膨大な物量の読み物となりまたが、ぜひぜひ、ご感想をお寄せください(正誤、お叱りも含め・・・汗)。コメント欄に書きづらければメッセージ(メールでもかまいません)。
好評をいただけたのならば、もう少しテーマを絞り、メンバーを入れ替えたり(より高い専門性のあるゲストなど)、違った組み合わせでのテキストライブをお届けしてみたいとも考えています(そしていつか、ATALASトークライブも?)。
最後までご精読いただき、ありがとうございました。
新春放談2016≪序≫
新春放談2016≪前編≫
切「まったく覚えていません……。いえ、思い出しました。宮古で講座をしましたね」
K「(宮古の女性一級建築士の)伊志嶺敏子さんと、(東京の女性一級建築士の)鈴木香織さん建築の宮古今昔」
モ「6月開催のみゃーく文化センター講座は、年度が替わって、『2015年度みゃーく文化センター 第1回・第2回講座』として6月13日、14日と連続開催しました」
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](http://img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/eco1st.jpg)
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](http://img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/kuro1st.jpg)
K「(市街型)エコハウスと、(大正時代の宿、)黒門町。エコハウスは風がないとさすがに暑い!」
切「でも、普通の家屋よりだいぶ涼しかったですよー。それに内装も素敵だった!」
K「この講座をきっかけとして、宮古の高校生と接点ができたという点が大きい」
優「そうですね。宮古の高校生はすごく素直だなぁと思いました。先生方が教えてくださるいろんな事例に感動して、講座が終わってからもずっとおしゃべりしてた」
モ「なんというか、ある意味。すれてない。云い方悪いけど、幼い。そんな感じだからとても素直だった。あと、WS(ワークショップ)は面白かった!」
K「ここから(高校生たちと)アメーバ状に、『島旅君』と連携して有機的に広がっていった」
モ「ホスピタリティが養われているって感じ?。これは大人になっても残っていると思うけど、素直さは高校生にはかなわないかも(笑)」
切「宮古の子から学ぶところがたくさんありますね」
優「うん、そうだね。歴史の事を話すと、自分に関係ある事はすごく身を乗り出してくる」
モ「夏休みはホント、島旅君にあけくれましたね〜」
優「子どもたちの生活と、親の仕事とか、消費の感覚とかが島ではリアルなんだと、実感しましたね」
K「それはどんな感じ?」
優「例えばサンエーで売られているお惣菜でも、誰々のお母さんが作ってるんだよね、とか。だから残さず食べようぜ、的な…。天ぷらとか、まさしくそうじゃんね!道路も、誰々の父ちゃんがアスファルト敷いてる、みたいな(笑)。一人の背後にはたくさんの人がつながってるってことを、はっきりと判っている。人を無用に切り捨てないのは、そういうことだと思うな〜」
K「その後の島旅については?」
優「あまりにも予定通りいかなくて、びっくりした。高校生たちは本当に忙しい。学校っていうよりは、保護者の紹介が増えましたね。宮古の人は、心が動くと早い。動き出してから、メインのページがどんどん決まってきた。宮古の人は、心が動かないと絶対動かない(笑)」
モ「あれれ、ちょ、ま…いつのまにか仕切りが変わってない?。ま、いっか〜(笑)」
切「宮古の人は、心が動かないと絶対動かない、は名言!」
優「関連するかどうかわからないんですが、一度、宮古の文化活動に協力したい、という話で、ある宮古の集まりに顔を出したんですよ。仕事が終わってかけつけたので、かなり遅い時間だったんです。その人も宮古に住んでいないので、久しぶりにオトーリにまみれたようで、会ったときには完全にできあがったいたんです(笑)。議論から大ゲンカになりました。その人たちは宮古に住んでいないけど、やっぱり応援したいんですよね。その気持ちはわかるけど、あまりにも排他的なので久しぶりに大泣きしました!ね、現場に一緒にいた切子さん!」
切「“実録宮古島の夜”ですよ」
優「この時期は、内からも外からも責められ、死にたいと思ったわ(笑)。一見、怖いやり取りやアプローチになってしまうんだけど、ほんと、みんな真剣。外からは理解しづらいと思うけど。みんな『俺に何ができるだろう』という気持ちは強い。でも、外の人とはやりたくない、純粋な宮古の人だけでやりたいとおっしゃってた。女で、年下がやってんじゃねーよ、的なことも云われ、キレた(笑)。俺のまわりの女はみんな優しいし、そんなことはっきり云わないって、最後は訳がわからんかったけど(笑)。宮古の女は世界で一番強いの!」
切「初対面。でも近い(笑)。そして熱い!」
優「島の文化をいろんな人にさわってほしくない、ましてや、ナイチャー連れの私には目が厳しかった。ほとんどハブとマングース状態!」
切「試されてる感じでしたね。真剣勝負」
優「そこで、すかした態度をとると次がない。真剣じゃないじゃん、やっぱり、みたいな」
切「社交辞令はいらないのねー」
優「そうそう、たぶん。今度、会っても、またモメるけど、そうやってお互い頑張っていける。全然後腐れはない。今の時点でいう、意見の違いだから。こういうやり取りがマッチョなんだよね。宮古のマッチョって言うと物議をかもすけど(笑)。これは以前、別の現場で、某Neeさんがやりこめられた(笑)。まぁ、宮古は全体的に文化系が弱いんだよね。ものを云わないと思ってる」
モ「文化力」
切「文化自体はとっても深くて濃いのに」
優「でも、今は違う潮流が来ている気がします。マッチョも文化系も歩み寄ってきた。はたからみたら、喧嘩しているようにみえるけど(笑)。どれだけ揉めても、一度共通のテーマが決まるとみんな俄然燃えるから」
K「では、今年を迎えての抱負などはいかがですか?」
優「文化資本は山ほどあるのに、あまりにも当たり前すぎて、生活に根ざしすぎて、大事だとは感じないのではないかと思うんだよね。これは沖縄県文化振興会の遠藤さんが雑談で云っててなるほどな、と思った」
切「資料のアーカイブの必要性も感じます?」
優「そうね、高校生たちが興味を持ったときに、すぐに提供できる場が必要だなと思う」
K「そういえば(最初に)サツマイモの伝播(した場所)が宮古島だということも知りました」
優「高校生たちも聞いて喜んでました。明日から“宮古芋”と呼ぼうぜ、って(笑)。そういうのをどれだけ面白く伝えていくかが問われていくと思っているんです。できれば、来年は『島旅君』では、そういうことがやりたいかな〜」
K「若者が、喰いつく仕組みづくりも大事ですね」
優「こっちも勉強しなきゃだけど(笑)。自分を取り巻く文化や歴史、アーカイブへのシンパシーもどんどん広がって行くと、いいな。宮古はなかなか資料にいきあたれないから」
切「宮古島に限らず、文化を記録したり保存したりすることによって、余計に失ったり傷つけられるものもあって、そこが難しいところ」
優「だからこそ、流行、というか『流れ、ストリーム』を底上げしていくといいと思うんだよね。それには、やっぱり、(ATALASは)文化祭か(笑)」
K「つまりはマスにいくかコアにいくか、このバランスが問われていると感じるんですよ」
優「コアからマスに撃つ、が宮古だと思う。迎合しないと決めているわけではないけど、濃いんだよね、キャラ。下手に傷つけないようにしながら保存しなきゃいけない。勝手にこっちが大事だときめつけるのは僭越という感じもある。ATALASは、面白い資料を若い人たちに提供するってことが主だと思う。だからこその祭りのような流れじゃないかと思う。2016年の新しい“お祭り”として加えてほしい(笑)。宮古研究会の皆さんも、外からの刺激でいてほしい」
K「(祭りが)できないから悩むのでは?」
宮「うーん、繰り返しになるけど、情報が少ないからじゃないかな。若い人たちは、今やテレビとかだけじゃなく、スマホを通じて、情報を得ていくから。そこでやっぱりどんどん提供していける仕組みが必要じゃないかな、と」
切「何もしなくても、どんどんと消えて行くものがありますしね。切迫した現実がありますよね。島の人の思うようになることがいいと思うし、どう思うかみんなで話し合う機会があればいいのですが…」
優「宮古的な抽象的カオスを、本土の人や県内の違う地域の人が知ってくれることが、まずは第一歩かなと思う。すべては言語化できないし。言語化すると、失われるものもあるとも思うんだよね」
モ「自分を含めて、島の外の人は、基本、島の(様々な)事象については、(突っ込み役として)あーだーこーだ云う。でも、(アナタの島のことなんだから、)島の人が(最後)決めれ、と」
切「都会人はカオスを受け入れないですから。反省」
モ「(島人たちが)決めたのなら、従う。そういうスタンスが(自分の)基本」
優「言語化して対立するより、あえて時間をともに過ごす事に大事さを見いだしたい。宮古の高校生はそれはそれは上手だよ、ホスピタリティあるし。講師の先生たち、いつも感動してるよ。それを「島の人がきめれ」はたぶん乱暴。なら、いるんじゃないよ、ナイチャーって思われる。一緒にに話そうよ、だと思う。話さなくても、時間を過ごして、ゆっくりわかることもたくさんある。特に島は」
モ「いや、島ことは島の人が決めるべき。でも、あんなこともあるよ、こんなことも出来るよ。そういうことを持ち込むのが、ナイチャーの役割(だと思っている)。それを感じて、考えて、活かして、一番いい選択をしてくれたらそれでいい。でも、外野(ナイチャー)がピーチクパーチク云っても、聴いてくんない(笑)」
優「いや、違うよーーーーー。モリヤさんのいう外野の云い方が、島の人に判る云い方じゃないんだよ。だから言葉じゃない、って思うんだよ。一緒に過ごして、そこから相手を知っていく事。簡単に人を判断しないって決めればいいんだよ。高校生たちはその点、自然だったよ」
切「外野だから、ナイチャーだから、と思ってしまいがちだし、そういう面も確かにあると思うけれど、突破する力を求められているんじゃないでしょうか」
優「時間にケチケチしてつきあうと、島の人は判ってしまう。心がないなーと。いや、もういらないんだよ。持ち込みはいらない。心がある人だけと一緒に島の未来を語りたいって、宮古の若い人たちは思ってる。それがひしひしと伝わってきた一年間でした。(だから、)関係ない人は島にいないという認識で、高校生は素直なんだと思う。みんなつながってるから思いやりが自然」
切「モリヤさんはもう島の人なんじゃないですか」
モ「いやいやいや。やっ中学生ですよ。義務教育も終わってません(やっと宮古在住15年目という意味)」
K「永遠の中二病(笑)」
優「宮古はここで終わり、っていう人間関係はない。全部、つながっている。だからこそ、その人の真意、真剣味を試される。今の宮古の状況は多勢に無勢。地元5万に対して、観光客50万人はインパクトが大きい。だから、島の事は島できめろといわれると、逆に無責任に聞こえる。じゃ、来るなよ、になりやすいんだよ。心ある人とつながろうとしている宮古人も多いし、今やっと萌芽が見えてきたような気もするのに」
モ「そっちじゃない(笑)。地元5万に(対して、)在住ナイチヤーの構図として話してた。観光客はまったく別モノ。だからちょっと話が噛み合ってなかったのかも(笑)」
優「在住には厳しいんじゃないかなぁ〜。それこそ、真剣味。あんた帰らないよね、的な(笑)」
モ「だから、四の五のは勝手に云わせてもらってるけど、島の(将来の)ことは島の人が決める。だって(俺ら)住まわせてもらってるんだもの(笑)。あ、物理的にもう10年以上、東京(故郷)には帰ってないけどね(笑)」
宮「いや、あんたもう島の人だから(笑)」
切「島ナイチャーの苦労があるんですね」
優「島の人が薄まりつつある時に、意外と力をもつのが外。いまや、私よりよっぱどモリヤさんの方が島の人。こんな宮古の歴史を知っているナイチャーのおっさんはいない!」
切「モリヤさんがんばれ!」
優「個人と公の観念が、(島では)違うことを、外の人に知ってほしいな、と思う。民謡でも歌って。昔から宮古の人は、“うぷゆ“とかいって、世の中の話ばかりしている。どうやったら支え合って生きていくか、とか」
切「ゆーやなうれ♪ さーさー」
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](http://img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/yuuya.jpg)
優「今のそうそうたる、って誰?」
モ「少しうろ覚えもあるけど、仲宗根將二先生、下地和宏先生、伊志嶺亮さん、奥平一夫さん、佐渡山安公さん、与那覇淳さんなどなどかな…」
優「うん、了解。あと、宮川耕二さんだね」
モ「そうそう。ゆーやなうれ、熱かった」
※2012年11月10日 復帰40周年シンポとして「宮古のアイデンティティーを求めて」という講演が催された。
優「これ、おもしろいよね。一口で観光客、外の人って云っても、実際はいろんな分野でつながっている。釣りとか、音楽とか…同じ趣味の人が何度も(やって来て、島で)人間関係を作ってリピートしてる。宮古ファミリー的です。それが宮古の人が思う“ゆう”なんですよね」
切「そう云えば、フェリー(船)の名前が、“うぷゆう”、“ゆうむつ”、“たらまゆう”だった。いい言葉ですねぇ」
モ「“ゆう”をもらうの“ゆう”だよね。“うぷゆう”は『おおきなゆう』。“ゆうむつ”は?」
優「そうっすね、豊穣?幸せ?」
優「(ゆうむつは、)世を持つ、かな。『ざーむつ』という言葉があって、座持ちだから。その感覚に近いんじゃない?みんなで支える、作る幸せ的な」
モ「“たらまゆう”は『多良間世』だと思ってた」
K「(笑)」
切「民族文化映像研究所の故・姫田先生が、『世(ゆう)』という言葉は、沖縄の精神世界を表す素晴らしい言葉だと仰っていました」
モ「難しいのは、大和世、アメリカ世とかと、字が同じなので、色々と混同してゆく」
優「さっき言った時間を共有ってことにつながると思うよ。同じ言葉でも全然違う。日本語ではこうで、宮古ではこうで、って使われている言葉の意味を確認していく。それはね、時間がかかる。特に抽象的なものについては。その謎を解明するには宮古固有の精神性を語ることになる。モリヤさ〜ん。このあたりでうまくまとめられそう?」
モ「まとまるのか〜展望とかって、なんかあった?」
優「あと展望か!」
モ「それにしてもこの実験的に企画してみた『新春放談』。まー、座談会的にといいつつも、なんかマニアックっぽい話とかも出たりしてなかなか面白い。もう少しうまく構成すること出来たら、ラジオとかデジタル配信できそう。。。沖大でちょっこっとやった、朝まで生テレビ的な(笑)。あ、ここは野望ね」
優「宮古研で読書会、情報交換会するって案もあるみたいです。全員参加できなくていいから。いろんな年代が集まって、宮古の高校卒業生もかかわってくるし、楽しみ!」
モ「あ、こういう風にネットも活用しとけば、誰でも参加できるね!」
切「今年はみんな仲良くね!(笑)」
優「もちろんATALASブログも続けましょう!昨年は、ATALASとしてはこどもたちのことをどこまで書いていいのかわからなかったから、あんまり更新していなかった。反省してます。なので、一方的に宮古研の皆さんにお世話になりました。蓄積はできたけど」
![[新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫ [新春特番] ATALAS新春放談2016 ≪後編≫](http://img01.ti-da.net/usr/a/t/a/atalas/tandi-s.jpg)
モ「はい。Blogも続けましょー!。できれば、もう少し書き手を増やして更新回数を多くしたい」
優「えー、では。ATALASは『ざーむつ(座持ち)』でいきましょう。『ゆうむつ(福を呼んで、福を与える)』目指して!」
モ「オッケーでーす!」
優「さまざまに支援してくださった、沖縄県文化振興会の方々、冊子作りや講座に関わってくださった講師の方や、宮古研究会のみなさま。昨年は多岐にわたり本当にありがとうございました!。本年もまた、ATLASネットワークにかわらずのご支援とご愛顧を賜り下さるよう、みなみなさま、何卒よろしくお願い申し上げます」
※収録20151226(東京/Tandy ga tandhi〜宮古/平良下里 二元ネット)
※ ※ ※ ※ ※
いかがでしたでょうか。ATALAS Blog初の試み、それも三日間に渡ってお届けした新春特番の「新春放談」。
この記事はスカイプとチャットで東京と宮古を結び、テキストライブ(トークライブではなく文字によるライブという意味の造語)で生み出されたものです。ナマの声、リアルな感覚での丁々発止のやりとりは、送り手としてもとても楽しく作りあげることが出来ました。
膨大な物量の読み物となりまたが、ぜひぜひ、ご感想をお寄せください(正誤、お叱りも含め・・・汗)。コメント欄に書きづらければメッセージ(メールでもかまいません)。
好評をいただけたのならば、もう少しテーマを絞り、メンバーを入れ替えたり(より高い専門性のあるゲストなど)、違った組み合わせでのテキストライブをお届けしてみたいとも考えています(そしていつか、ATALASトークライブも?)。
最後までご精読いただき、ありがとうございました。
新春放談2016≪序≫
新春放談2016≪前編≫
Posted by atalas at 12:00│Comments(2)
│金曜特集 特別編
この記事へのコメント
大変おもしろく、興味深く拝見させていただきました。
いつか宮古島で暮らしてみたいと夢見るわたくしですが、宮古島の人といかに楽しくそしていかに深い信頼関係を築いて行くかのヒントを与えてくれるブログだと感じました。
また、宮古の歴史や宮古の最新情報等を知ることができ、とても充実した内容だと思います。
宮古島初心者?のわたくしには少し内容が濃いですが、何度か読ませて頂き少しずつ宮古の事を知りたいと思っています。
これからも楽しみにしています。
いつか宮古島で暮らしてみたいと夢見るわたくしですが、宮古島の人といかに楽しくそしていかに深い信頼関係を築いて行くかのヒントを与えてくれるブログだと感じました。
また、宮古の歴史や宮古の最新情報等を知ることができ、とても充実した内容だと思います。
宮古島初心者?のわたくしには少し内容が濃いですが、何度か読ませて頂き少しずつ宮古の事を知りたいと思っています。
これからも楽しみにしています。
Posted by おたまじゃくし at 2016年01月11日 18:46
おたまじゃくし様
コメントありがとうございます(返信が遅くなり、申し訳ありません)。
何もないといわれる宮古ですが、色々と掘れば出てくるので、興味が尽きません。ニッチだと云われようが、マニアックといわれようが、この面白さを伝道するのもTALASの役目かとも考えています。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます(返信が遅くなり、申し訳ありません)。
何もないといわれる宮古ですが、色々と掘れば出てくるので、興味が尽きません。ニッチだと云われようが、マニアックといわれようが、この面白さを伝道するのもTALASの役目かとも考えています。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by atalas
at 2016年02月26日 14:10
