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2018年10月30日

火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」

火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」

本日のATALAS Blogは、いつものあの“石碑”の奴ではなく「火曜特集」です。ATALASの特集は通常では金曜掲載ですが、色々あっての火曜特集となりました(10月5週目火曜でもある)。掲載を決めたものの看板を作ってなかったので、金曜特集を借りた仮設タイトルです。ごめんなさい、次回までには・・・。
でもでも、本日お届けするのは、ATALASの旅モノの新機軸、灯台にフォーカスを当てたなかなか濃いめの旅モノです。ライターは全国津々浦々の灯台を目指す、「自称、灯台ファン・お遍路派」のサトジュンさん(from 横浜)です。
宮古島は大海原のただなかにある島なので、流通の大半を海運に依存しています。海をゆく船の道しるべである灯台の恩恵を受けていることは、誰もが馴染み知るところです。
それなのになぜ今、灯台なのか。実は今、灯台がとても熱いのです。今年2018年は日本に灯台が築かれて150年目。さらに来月、11月1日は「灯台記念日」という、そんな絶妙な推しのタイミングに彗星のごとく現れたサトジュンさん。これはもう、まずがーと、名刺がわりの1本をお届けするしかありません。ということで、タイトルど~ん!。


『サトジュンの灯台お遍路旅』(観音埼灯台@神奈川県横須賀市)

こんにちは。
三度の飯より灯台大好きの“サトジュン”です。

灯台ファンで、自称・お遍路派(数多ある灯台をひたすらに巡礼し続ける趣味)として、西へ東へ南へ北へと、国内の灯台を訪ね歩いているだけの私が、おこがましくもこの場を借りて灯台について語らせて頂くことになりました。
火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」
まず、一番最初に知って頂きたいのは、日本の洋式灯台が、今年の灯台記念日2018年11月1日で150年周年を迎えることです。9月には「灯台150周年」の記念切手も発売されました。
なにをもって150年かというと、神奈川県横須賀市にある観音埼灯台の工事起工日、明治元年11月1日が150周年のはじまりなのです(点灯開始は翌年の1869年だけど)。

【観音崎灯台 全景】
火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」このように多くの灯台は記念銘板(初点プレート)を持っていて、そこには初めて灯台に灯りが点された年月日が刻まれています。
ちなみに観音埼灯台の初代の銘板は、灯台横にある横長の1メートルくらいの石で、おしゃれにもフランス語併記で刻まれています。

ということで、灯台好きの自分勝手な観点から、地元神奈川県の観音埼灯台をご紹介します(実は観音崎灯台というのは、能登半島と石垣島にもあるんです^^;)。

現在の観音埼灯台は、1925(大正14)年に再建された3代目のコンクリート造りとなっています。
初代の灯台はレンガ造りで、フランソワ・ヴェルニーというフランス人技術者により建てられましたが、1922(大正11)年に地震で被災したため取り壊しとなります。
翌年、2代目のコンクリート造りの灯台が完成しますが、1923(大正12)年の関東大震災で倒壊しています。
そうえいば横須賀にヴェルニーの名前の付いた公園がありますね (いつかは行きたい)。
火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」
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火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」
【上から、フランス語併記の初代、2代目、3代目の初点プレート】

倒壊と改築の歴史については、灯台入口の初点プレートからも読み取ることが出来まして、灯台の入口上部に一番新しい3代目のプレートが、内側の螺旋階段の入口上部に2代目のプレートがあります。特に3代目には「震災改築」の記載もあって、2度の地震で倒壊し再建されたことが判ります。

灯台の入口の前に広がるスペースは、灯台職員の官舎が建っていた場所であり、その一角に大正天皇の皇后・貞明皇后の行啓訪問を記念した碑も建てられています。
皇后は灯台職員を労うために、国内のいくつかの灯台を訪れていたようで、三浦半島の剱埼(つるぎさき)灯台にも同様の碑があります。

灯台ファンたち(ほぼ中高年)は、映画「喜びも悲しみも…」でお馴染みの海岸の遊歩道から、灯台へ続く階段を息を切らせながら上がり、絶景には目もくれず敷地内へ行き、かつての官舎跡を妄想し、灯台に昇り、灯室内やバルコニーからレンズを眺めます。
どこの灯台に行っても、まず景色よりレンズに目を向けているのは、コアな灯台ファンと思って間違いないでしょう。
知識不足で上手くは語れないけど、確かにフレネルレンズは美しいと思うし、見てほしい推したいポイントでもあります。
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【2代目バルコニーの残骸と、横須賀製鐵所の刻印がある煉瓦(発掘)】

そして彼らは灯台と灯台資料館を堪能した後、潮の引いた磯へ降りて行き、砂に埋まった初代の観音埼灯台のレンガを探し、2代目のバルコニーの残骸に触れてノスタルジーに浸るのです。

この灯台の魅力は、浦賀水道を一望出来る眺望はもちろん、小ぶりながらも貴重なフレネルレンズを超間近で見学できる参観灯台(いわゆる施設に入れる灯台のこと)であることや、初代と2代目の面影を現灯台下の磯に見ることが出来ることなど、歴史を肌で感じられるところにあります。

また対岸には房総半島の眺め、さらに東京湾に入るすべての船舶を見おろすロケーションにあるので、第一・第二海堡(明治大正期に東京湾防衛のため構築された人工島)、横須賀に入る潜水艦や空母の類はもちろん、横浜や東京に入るクルーズ船やタンカー、時には南極観測船「しらせ」なども見ることが出来る(偶然だったけど)ため、船舶ファンにも人気のスポットとなっています。
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【左:たたら浜から遊歩道に向かうトンネル 右:灯台近くの砲台跡】

灯台の周辺は県立公園となっているため、たたら浜のゴジラの足跡を見たり、古の砲台跡を散策したり、地層を見学したり、磯遊びやBBQを楽しむなど、思いのままに一日過ごせたりします。

ちなみに灯台の本領発揮は陽が落ちてからの点灯となるわけですが、観音埼灯台の点灯を眺めるには、若者がたむろする公園入口のロータリーを通過し、街灯はあるものの、ほぼ真っ暗な道を進んでいく必要があるため、一人で行くのはかなり勇気が必要です。

私のイチオシの見方としては、夕暮れ時の東京湾フェリー(金谷-久里浜)からの眺め。
夕陽をバックにした富士山のシルエットに加えて、観音埼だけでなく剱埼、城ケ島、洲ノ埼(千葉)の各灯台も点灯を開始するため、とてもテンションが揚がります。
たとえば、千葉をツーリング(ドライブでも可)した後に、フェリーで久里浜に帰ると神奈川の灯台が一斉に「お帰り~!」と迎えてくれる…そんな感じ。
これはもう乗船中ずっと甲板にいるしかないのです。
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【左:沖縄からはるぱる東京湾までやって来たA_LINE(白い貨物船) 右:偶然現れた、南極観測船しらせを見送る】

観音埼灯台のような参観灯台と呼ばれる、「のぼれる灯台」は日本に16基あり、2018年6月から、青森の尻屋埼灯台も仲間入りしました。
沖縄では平安名埼灯台と残波岬灯台の2基、参観灯台があります(入道埼と尻屋埼は冬期間はお休みになります)。

是非、海に近くにお出かけの時は灯台を探してみては如何でしょうか?
灯台は船舶の航行はもちろん、陸から目指す者達も暖かく迎えてくれます。

それではまた、何処かの灯台でお逢いしましょう!

『参観灯台への心がまえ』
一、灯台内にトイレやエレベーターはなし。
  事前にきっちり用は済ませ、階段を登る体力を温存しておきましょう。
一、小銭で200円を用意しておくべし。
  参観灯台は寄付金で成り立っています。釣銭のいらぬよう努めましょう。
一、記念スタンプも楽しむべし。
  スタンプ蒐集家でなくとも、訪問の記念になるのでスタンプは押しましょう。


【灯台のいろは】(clickで拡大します)
火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」




火曜特集 「サトジュンの灯台お遍路旅」サトジュン
神奈川県横浜市在住。
全国津々浦々の灯台を目指す、灯台ファンとしては自称・お遍路派。
キッカケはバイクツーリングで偶然出逢った、石廊埼灯台(静岡県)の一般公開。
初宮古島は2015年の伊良部大橋の開通の日。
以来、毎年、お天気に恵まれない1月に来島。



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