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2018年05月04日

log12 「オトーリにまつわるエトセトラ」

log12 「オトーリにまつわるエトセトラ」

ゴールデンウイーク真っ只中、皆さまリア充していますか?。
私は息子の部活の行事が無事終わりホッとしています。
と言うのも、宮古の小学校の各運動部では、毎年春から夏にかけて先島親善大会(名称は異なる場合があります)が行われていて、お迎えする側はお出迎えからお見送りまでおもてなし三昧の日々になるのです。
これは子供たちの部活動だけではなく、大人のスポーツ団体でも恒例の行事となっているようです。

【先島】
さきしま。先島諸島。全国の天気予報ではいつも日本地図に映らない、八重山諸島(石垣市、竹富町、与那国町)と宮古諸島(宮古島市、多良間村)を合わせた地域の呼称。

このふたつの島々では毎年交互に開催される親善大会は、勝ち負けよりも親睦を深めるのが一番の目的だったりします。そのため、夜の部の親睦会は昼の試合よりさらに盛り上がります。
そして団体によってはこの親睦会、飲食店ではなく、公民館などを借りて開催するので、料理もお母さん達の手作りなのです。さすがお祝い慣れしているお母さん方!手分けして段取りよく数十人から百名近い人数のご馳走をこしらえていきます。
log12 「オトーリにまつわるエトセトラ」log12 「オトーリにまつわるエトセトラ」
お父さん方は会場作り、プログラム作り、そして会が始まればオトーリも欠かせません。
さて、今回はこのオトーリに焦点を当て、ドゥカッティ(自分勝手)な考察を交えて紐解いてみたいと思います。

【オトーリ】log12 「オトーリにまつわるエトセトラ」
宮古では言わずと知れたお酒の飲み方。ちなみに、ここ宮古では「酒」は日本酒ではなく泡盛を指します。
ザックリと説明をば。

まず泡盛と水と氷のオトーリセットを用意して予め泡盛3:水7くらいに割ったものをピッチャーもしくは一升瓶に作っておく。
グラスは小さめがベターですが、野外や公民館などではプラコップでジョウブンです。

【ジョウブン】
充分。大丈夫。

①宴会の席で1人が親になり、立って口上を述べグラスに入れた酒を飲み干す。
この口上の間は、ちゃんと聞いていないといけません。おしゃべりでもしようものなら本気で叱られます。

②親は飲み干したグラスに酒を注ぎ、隣の人に渡す。
このとき、時計回りだと「豊年まわり」、反対に左回りだと「大漁まわり」ですが、皆さんそんなに気にせず回しているようです。
それにしても小さな島でも地域によって基幹産業が異なり、回す方向も違うのですね。
そう言えば宮古の夏まつりで行われる大綱引きでも、西軍が勝てば大漁、東軍が勝てば五穀豊穣とされていますが、大漁と五穀豊穣は両立出来ないものなのでしょうか?。

③酒を渡された人は飲み干してコップ親に返す。
このとき自分が飲み干せる量にしてもらいましょう。少しでいいときは、注がれる前に「ぴっちゃがま(ぴーちゃがま)」と伝えます。また、「この量でストップ!」というときには、「とーとーとー!」と言いましょう。

【ぴっちゃがま(ぴーちゃがま)】
少しだけ。私が宮古に来て最初に覚えた宮古口かも。
「ぴっちゃ」は「いぴっちゃ」。少しの意味。「がま」は沖縄本島の「小(ぐぁー)」と同じで、小さくて可愛いものや少ないものを表す。「~だけ」の意も。
例:「少ーしがま席を詰めてくださいね。」

【トートートー】
「トー」は「終わり」の意味。
飲み物を注いでもらってるときに「トートートー!」と言うと「もうジョウブン」の意味。

④親はさらに隣へ隣へ移動し、②③を繰り返す。
みんなに回し終えたら最後の人が親に注ぎ、それを親が飲み、シメの口上を述べ、「次は〇〇さんに繋ぎます」と次の親を指名し、指名された人はつべこべ言わず親になり①から④を繰り返す。

人数が多いときは親が2人になることもありますが、2チームに分かれるわけではありません。同じ参加者の中を、席が離れた2人が同時進行で始めていきます。が、進むペースが違うと、早いほうがもう1人に追いついてしまい、飲まされる側は立て続けに親2人が来て連続で飲むハメになったりする、なんてこともあります。
私が初めて宮古に来て地元の方とオトーリしたときは、このエンドレスな飲み方の最中、いつ帰っていいのか分からず困りました。内地のように終電があれば帰るキッカケになるのですが、電車の無い宮古だと無限に続いていくのです。
中にはトイレに行くフリをして、いつの間にか帰る方もいて、「黙って帰ったんだ!」と驚きましたが、実はあれは場をしらけさせないためでもあるんですね。
ま、そうでもしないと「帰るならあと1回まわしてから帰れ」となり、ややこしいからでもありますが。

もちろん、運転して帰る人や飲まない人はやらなくて大丈夫です。親が回って来たら自分のソフトドリンクでニッコリ乾杯して過ぎ去ってもらいます。
しかし、家族単位で参加する宴会では男性と女性は離れて座ることが多く、男性陣のみで回すことがほとんどなので、女性はあまり参加しません。
一方、女性陣(奥さん達)は少しでも早く帰れるようにジワジワ片付けていきます。

宮古保健所が付き合い酒を断る目的で平成17年度から「オトーリカード」なるものを発行していますが、実際に使っている人を私はまだ見たことがありません。今年度からは「美ぎ酒飲みカード(かぎさきのみカード)」と何故か名称が変わりました。

昔はどうか分かりませんが、最近はオトーリを無理強いする方もほとんどいないのであまりカードの必要性を感じませんが、発行は無料で宮古島市民・多良間村民なら誰でも交付可能だそうです。私も今回のコラムを書くに当たり、カードを作りに行ってきました。

日頃の摂取量をチェックシートに記入したり、1日の適正飲酒量の説明等を受けるとめでたくカード発行となります。
宮古島保健所の健康推進班のアパラギシェーネン(本当にイケメン!)が 対応してくれましたよ!皆様も是非!。
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さて宮古独特の飲み方、このオトーリはもともとは神事の儀式から始まったという説や、昔は貴重だった酒を皆に平等に行き渡るようにしたという説がありますが、何よりその場にいる人全員とコミュニケーションが取れることが最大のメリットではないでしょうか。
今宵も宮古のあちこちでオトーリが繰り広げられていることでしょう。お帰りの際は「サバぬにゃーん」とならぬよう、くれぐれも履き物を間違えないようお気をつけくださいね。

【サバぬにゃーん】
宮古の久松出身の下地イサムさんの歌のタイトル。
「サバ」→サンダル。島ぞうり。
「ぬ」→の
「にゃーん」→無い
つまり「サンダルが無ーい」
ちなみに宮古では一人一足以上は所有していると思われる島サバ(島ぞうり)は島と付くが、沖縄産ではなくmade in Indonesiaです。軽くて履きやすくて上等!。
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ではまた来月。
あとからねー!

【ライタープロフィール】
川上 良絵~かわかみ よしえ~
神奈川県出身。ふとしたキッカケで宮古島に移住し15年。
介護の仕事をしつつ、書店や小学校などで『おはなし会』を行なっています。
絵本や宮古民話の読み聞かせの他、紙芝居や切り紙、ミャークフツクイズなど盛りだくさんな『おはなし会』です。
参加費無料です。ぜひせび、遊びに来てくださーい!

『おはなし会』スケジュール ※どちらの店舗でも、およそ30分ほど。
◆TSUTAYA宮古島店
  毎月第4日曜日 午後4時から
◆ゲオ宮古店
  毎月第1日曜日 午前11時から




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