ATALAS Blog

皆さま、年度末の３月いかがお過ごしですか？。
この「宮古口見聞録"」も昨年３月に初お目見えしてからはや１年。当時はまさか連載になるとは思っておらず、こんなことならネタをもっと小出しにすれば良かったとちょっぴり後悔している今日この頃です。

さて、宮古ではこの季節になるとよく見かける新聞記事があります。
それは「高校生の卒業式後の問題行動未然防止について」というものです。
内容は、警察署や学校関係者らが会議をし、高校生が卒業式後にハジけて問題行動をするかもしれないから未然に防ぐための対策を考え、島民みんなに周知してもらおう、というものです。
十数年前は確か、「メリケン粉を高校生に売ることを自粛しよう」という不思議な文面がありました。「酒・タバコを販売提供しない」や、「深夜徘徊をさせない」などは分かりますが、何故メリケン粉なのでしょうか。

【メリケン粉】
小麦粉。アメリカ産の小麦粉。
メリケンはAmericanのこと。明治時代に小麦粉の輸入が始まった頃、日本産のものと区別するためにこう呼んだそうです。懐かしい響きですね。ちなみに日本産のものは「うどん粉」と呼んだそうです。知らなかった！。

このメリケン粉、卒業式後に紙吹雪の要領で卒業生同士投げて(ぶつけて？)いたそうです。
しかし紙吹雪と違い、払い落としても制服の繊維の中に入るわ、水洗いしてしまうとドロドロネチョネチョするわで、大変だったそうです。中には生卵を投げる輩もいて、お母さん方は洗濯に相当苦労した挙句、結局捨てるしかない場合も多かったみたいです。
まったく。天ぷらじゃあるまいし。。。

また、在校生にもメリケン粉がかかって、制服を買い直し、なんてこともあったとかなかったとか。。。
妹や弟にお下がりさせる予定の家庭も大変だったことと思います。
そしてメリケン粉を学生に売らない作戦が功を奏したのか、もう宮古でメリケン粉投げを見ることは残念ながらありません。
かわって新聞では、SNSや出会い系サイトを介しての被害を懸念し、適切な使用を呼びかけたり、危険ドラッグなどの薬物乱用の注意を促したりしています。
時代も変われば問題行動とされる事柄も変わってくるのですね。
最近は在校生がお菓子で作ったレイや、帽子を卒業生に贈るのが、新スタンダードとなっています。
ちょっと前までは、パイの実などのアソートパックの袋菓子がレイを作る定番の材料でしたが、最近は安くて加工しやすい、うまい棒が卒業シーズンになるとお店の棚から姿を消すほどの人気とのこと。
中学生や小学生の間にもこの風習は広まっていて、昨年は贈るのを控えるよう息子の通う小学校から通達が来ました。おそらく、たくさんもらう子もいれば、帰宅部の子どもはもらえないので可哀想、ということなのでしょう。

【分散会】
ぶんさんかい。
卒業式の後、オシャレしてホテルの会場やレストランなどでパーティをします。謝恩会とは言わないんですね。
女の子はこのハレの日のためにドレスや靴、パーティバッグを買いに行きます。しかし島内だとお店も限られるので、他の女の子とドレスが被る可能性もあるため、沖縄にわざわざ買いに行く人も多いようです。


【沖縄に行く】
沖縄本島に行くという意味。
宮古ももちろん沖縄県ですが、アイデンティティとしてはウチナーンチュではなくミャークピトゥなのだと思います。
そして県外に行くときは「内地に行く」でだいたい済みます。

また、分散会に話を戻します。

女の子は美容院も数ヶ月前から予約しないと、ヘアアレンジの上手なところはすぐにいっぱいになってしまいます。
さぁ、こうして気合いの入った衣装を身にまとい、ヘアメイクもバッチリ決めたら、分散会の前にもうひと仕事。ご近所や親戚にハレ姿を見せに回ります。お化粧もハイヒールも慣れてない感じがまた初々しく可愛いものです。
良いなぁ若いって！
あ、ちなみに男子はスーツが多いようです。

高校を卒業するとほとんどの人が沖縄や内地に旅立つ宮古島だからこそ、分散会というものを目一杯楽しもうとするのでしょうね。
でも！みんな離れて距離は遠くなっても絆は深くなっているはず！

「ここで過ごした日々のすべてが羅針盤となる
でこぼこ道も迷い道もつまづいたって くじけない！」
宮古島男子保育士連合會 the 男塾 の歌う「ティダっ子パラダイス ～ウヤヌククル～」より。
うーん良い歌詞だ。
(作詞は私)

ではまた来月！
あとからね～