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2016年11月22日

第110回 「はばたき」

第110回 「はばたき」

通算9回目の「謎の石碑-未解明ファイル-」(Part2第5回目)です。このシリーズは皆様の叡智をお借りして謎を解き明かせたらば、と願いつつ進めていますが、あまりも石碑そのものがマニアック過ぎて、なかなか解き明かせていません。今回は謎よりは軽く、コレなんでしょう的にものでございます。
第110回 「はばたき」
ご覧の通り、石碑と云うよりはモニュメントです。ちょっと愛らしく躍動感のある感じの。
こちらは日本最南端最西端を走る国道390号線沿い、旧下地町の川満団地の北側にあるモニュメントです。道路脇にあるとはいえ旺盛な南の島のグリーンモンスターの繁殖力には抗えず、メンテナンスをされつつも、耐えず雑草の中に埋もれかけています。
そのため、ちょっと遠くから見ると緑の中から金属製のパイプがにょっきりと生えているような印象を得ることがありますが、実際に近づいてみると金属製のパイプの下に台座があることが判ります。
台座には『下地町』そして『はばたき』と書かれています。第110回 「はばたき」
このオブジェの位置的に旧下地町と旧平良市の境界に近く、空港(南交差点)からすぐという立地は、まさに下地町の入口、玄関口ともいえる場所です。

完全に思い込みでしたが、金属のパイプの頂点で両手両足を広げた人型に、てっきりスボーツ関連のなにかだろうとタカをくくっていました。しかし、スポーツとかはまったく関係がありませんでした。
「はばたき」
島内外から訪れる多くの人々に対し、下地町民の暖かい心のふれあいと友情の気持ちで、心より歓迎し、心暖まる交遊と交流とを通して、そこから生まれる新しい友情とふれあいの芽――。
それらが、下地町ひいては宮古島全体の輝く未来へと大きくはばたいていくことにつながると信じています。この塔は、それを象徴し表現しています。

作者・岸本一夫
建立・平成4年3月3日
建立者・下地町
台座の裏手に刻まれた解説は、下地町のへの来訪を歓迎する文言だったのです。けれど、なんとなくそれっぽい言葉で、ありきたりな緩さの内容に、いまひとつ頭に入って来ませんでした(感想には個人差があります)。ごめんなさい。

第110回 「はばたき」平成4年。1992年の下地町。
この年に大きな出来事は特になかったようですが、元号が平成となった1989年に町制40周年を迎え、建立前年の1991年には第1回サニツ浜カーニバルが開催され、翌年の1993年には「ふれあいの前浜海浜広場(ウインディまえばま)」が完成、1995年に来間大橋が開通しています。ざっくり見ると、地域振興と観光需要に対応してる感はあります(内地は時代的にバブル末期から崩壊期ですが)。

なんとなくの背景は知ることは出来ましたが、あまり有益な情報とはいきませんでした。

このオブジェの作者は岸本一夫という方。
実はまったく存じ上げていなかったのですが、調べて驚きました。なんとオリオンピールのあのロゴをデザインされた方だったのです。
あわててプロフィールを探ってみるとwikiに項目はあるものの、なぜか詳細の記載がなく、あちこち色と々探して来た情報によると。。。
岸本一夫(きしもとかずお)
デザイナー。1935年、大阪生まれ。終戦直後に沖縄へ。
1957年、琉球大学文理学部美術工芸科を卒業。
1974年、沖縄国際海洋博覧会 公式ポスター制作。
1979年、JAGDA(公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会)設立のシンボルマーク制作。
1980~2001年の21年間、オリオンビールのデザイン制作を担当。
2003年、愛・地球博 EXPO 2005のキャンペーンポスター展に参加。
沖展新人賞受賞(絵画)、沖展賞受賞(商業美術)、日宣美展入選、沖縄タイムス芸術選賞デザイン大賞受賞など受賞多数。
とのこと。
沖縄のデザイナーの重鎮と云われる方が作っていたことに、ちょっとびっくりしましたが、こんな路傍でなく、もっと意義のある場所はなかったのだろうか。というよりそもそも下地町が、なぜここにこれをなんのために設置したのでしょう。その意図がいまひとつ伝わって来ず、緩い緩い謎だけが残りました。
書いてみると、あまり謎らしい謎にはならず、ちょっと不発だったようですね。けど、シンプルで元気のある作品なので個人的にはちよっと好きだったりします。前浜あたりに行く道すがら、気付いたら見上げてあげてください(わき見運転はダメですよ~!)。

【史料】
1982年2月 沖縄の雑誌『青い海』100号 津野創一インタビュアー「岸本一夫/視覚的なもの、すべてを栄養/琉文21




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