ATALAS Blog

今月は旧・下地町シリーズが続いていますので、今回は同エリア内にあるちょっと変わり種の碑-いしぶみ-を取り上げてみました。
この「縣農表彰記念碑」という古びたコンクリート製の石碑です。
建立されている場所は下地駐在所脇の細道を入り込んだ、なんてことのない宅地の一角で、住所的には下地字上地に位置します。
北側の下地番所（下地健康福祉センター）と、南側の洲鎌村番所（沖縄電力下地配電塔）にはさまれたエリアで、碑のそぱには道へ半分はみ出して屹立している、どことなくいわれのありそうなモクマオウが一本あります（確実に木より道の舗装の方が後年である）。
碑銘に「縣農」と書かれているので、県から農業で表彰された記念の碑なのではないかと思われますが、それ以外に手がかりになりそうなものは、側面に刻まれている建立月日くらいしかありませんが、かなり劣化しており「大正十五年十一月二十？日」と、その日付すら怪しく,この碑がなぜここに建てられているかまったく判りません。
けれど、当時は表彰されたことが、とても嬉しくてこれを建てたのだろうと、今は知ることのかなわない物語を妄想すると、どこか碑そのものが愛おしく見えくるような気がします。

この石碑をたどる「 んなま to んきゃーん」の連載は、島に無数ある石碑がなんとなく気になり、それをテーマに書いてみたら面白いかもしれないというところからスタートしていますが、今回の大正期の石碑を紹介して、ふと宮古島域でもっとも古い石碑はいつ頃のものなのだろうという疑問符が浮いてきました。
これまでの21回の連載を振り返ってみても、予想通り昭和に作られたものがほとんどで、もっとも古いものは1876(明治９)年に建立された「ドイツ皇帝博愛記念碑」（第14回）で、今から139年前のものでした。
これを超える古い石碑は宮古にあるのか、どうやらそれが次の命題となりそうです。