2019年06月07日
7本目 「小さな恋のうた」

今月のシネマdeミャークは5月24日に全国公開された、「小さな恋のうた」。
ほら あなたにとって大事な人ほど すぐそばにいるの
ただ あなたにだけ届いて欲しい 響け恋のうた

きっかけは沖縄出身のプロデューサー山城竹識。
なんと彼はモンパチの高校の後輩。モンパチが高校生の頃に学園祭で「HAPPY BIRTHDAY」を演奏するのをリアルに体験しており、その原体験が「小さな恋のうた」の映像化という企画につながったという。
主人公は沖縄の高校生バンドのメンバーたち。
この若い俳優たちが本当にフレッシュで良い!。 主人公の真栄城亮多役の佐野勇斗の太陽のような明るさは作品全体のエネルギーだ。
この亮多の親友で、音楽活動の相棒ともいうべき譜久村慎司役の眞栄田郷敦は、これが映画デヴューながら堂々した演技。なんと千葉真一さんの息子さんで、真剣佑の弟さん。今後が楽しみな逸材だ。
そして慎司の妹、舞役の山田杏奈が歌声も含めて素晴らしい。後半は彼女の存在が映画を大きく引っ張る。
沖縄全面ロケで撮られた本作には、バンドを巡る物語に絡めて、沖縄の抱える基地問題なども提起している。これはやはり沖縄出身の企画プロデューサー山田竹識が「本当の意味でのチャンプルー文化」をテーマに掲げ、米兵による人身事故、抗議活動といった繰り返す沖縄の痛みを描く一方、基地に暮らすアメリカ人の女の子との「フェンス越しの愛」など爽やかな友情を描いて清々しい。
【本作のメイテーマ曲「小さな恋のうた」を演奏する“小さな恋のうたバンド”のPV】
もちろん全編を彩るモンパチの名曲たちが素晴らしい!。 「Don’t Worry, Be Happy」「あなたに」そしてもちろんタイトルにもなっている「小さな恋のうた」。映画の中の高校生バンドを見ながら、その姿が当時のモンパチに重なってくる。
そうそう、モンパチの3人もカメオで出てますよ~。どこに出てくるかは、お楽しみ。
ただ、沖縄イントネーションが完全封印されているのはなぜだろう?。最初から最後まで、ウチナーグチはおろか、沖縄特有の「-さ~」という語尾ですら一切出てこない。唯一出演していた沖縄の俳優津波信一ですら、共通語のイントネーションだった。なぜ?、最近よく見るドイツの映画なのにドイツ人が英語をしゃべってるみたいな違和感を感じて、せっかくいい映画なのに沖縄をリアルに感じられなかったのは残念だった。
それでも、最後まででーじ爽やかなこの作品。彼らのライブに心は弾むし、見終わった後には延々と「小さな恋のうた」を口ずさんじゃうこと必至!。モンパチファンならずとも必見の映画です。
【映画「小さな恋のうた」の予告編② ①はコチラ】
【作品データ】
「小さな恋のうた」
公開:2019年5月24日
監督:橋本光二郎 (「orange-オレンジ-」「羊と鋼の森」など)
出演:佐野勇斗、森永悠希、山田杏奈、眞栄田郷敦、鈴木仁、トミコクレア、世良正則、清水美沙、など
主題歌:MONGOL800「小さな恋のうた」
【映画「小さな恋のうた」 メイキング映像】
※宮古島では2019年6月22日から上映予定
久保喜広、1960年生まれ
東京在住ながら20年以上毎夏宮古に通う。宮古移住が夢。
2012、2013年、ぴあフィルムフェスティバル審査員
2013年、日本アカデミー賞特別会員
2014年、東京国際映画祭WOWOW賞審査員
以降、映画祭での審査員、シネマコメンテーターとして活動
Posted by atalas at 12:00│Comments(0)
│シネマ de ミャーク