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2016年07月08日

10冊目 「琉球妖怪大図鑑(上・下)」

10冊目 「琉球妖怪大図鑑(上・下)」

東京では梅雨も終わりに近づき、いよいよ夏が始まる7月です。宮古島ではとっくに真夏ですね!。
今回は、暑くて寝苦しい夜にひんやりできる本、『琉球妖怪大図鑑』を紹介します。皆さんは肝だめしやお化け屋敷は好きですか?。沖縄にはお化けならぬ妖怪がたくさんいるのです。
この本では、上下巻にわたり奄美、沖縄、先島それぞれの地域の妖怪を、特徴や出没地、イラストなどによって図鑑のように知ることができます。
沖縄では、妖怪のことをマジムンと言います。宮古では、マゾムヌ、マジムヌなどと言うようです。沖縄で有名なマジムンは、キジムナーですね。赤い髪でガジュマルやアコウの木に住み、魚の目玉が大好物です。そんなキジムナーも地域によって、フィーフィー、ボーヂマヤー、ブナガヤなど様々な呼び名があるそうです。

10冊目 「琉球妖怪大図鑑(上・下)」宮古島の妖怪もたくさん載っています。かの有名な(?)カタアシピンザも登場します。カタアシピンザは、片足(一本足or足が欠損しているなど諸説あります)の山羊の妖怪です。
平良のガングルユマタという交差点に出没し、股の間をくぐられたものはマブイ(魂)を取られるそう(※股の間をくぐられるのほか、飛び越えられると等の説もあります)。
この妖怪の特徴は、昔ながらに伝わる妖怪ではなく、現在進行形で目撃される現代的な妖怪であることだそうです。こうして、妖怪は日々生まれるのですね。
他にも、下地島の人魚の妖怪ヨナタマや、伊良部島のインガマヤラウなど、個性的な妖怪がたくさんいます。川満村の目利真御嶽にまつわる妖怪メリマツノカワラは、半神半人のデミゴッドです。

妖怪とひとことで言っても、人間のお化け的なものから、動物、精霊、岩や火そのものだったり、とても一括りにはできないほどバラエティーに富んでいます。そして、三木静さんによるイラストがとっても怖い!本当に怖い(笑)。怖がりな人は要注意です。でもよく見ると、可愛い妖怪や味わい深い表情の妖怪もいて、自分のお気に入りの妖怪が見つかるかもしれません。

著者の小原猛さんは、あとがきにこう記しています。
少なくとも現在、2015年の沖縄には、数多くの遺跡や拝所、洞窟や森や海がのこり、まだまだマジムンたちが生息できる場所がのこっています。おそらく、そのような場所に彼らは隠れ、ひそんでいるのです。でもそういった場所も、毎年のように壊され、マンションが建ったり、道路になったり、数が激減しています。もしかしたら、十年後か、あるいは百年後、マジムンたちの居場所は永遠になくなってしまうかもしれません。

次に沖縄や島々に行くときには、妖怪のいそうな場所を探してみたいと思います。また、そういう場所を大切に守っていくことも大事なことですね。

『琉球妖怪大図鑑』を読めば、ヒンヤリすること間違いなしですが、もっと冷えたい方は、RBC放送の『オキナワノコワイハナシ』というホラー映画のDVDもあります。多彩なクリエイターによる、沖縄古来の怖い伝説をモチーフにした作品がオムニバス形式に収まっています(宮古島市図書館北部分館にレンタルがあります)。
また、東京にお住まいの方は、江戸東京博物館で企画展『大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで』が開催中です。日本の妖怪と沖縄の妖怪を比べてみてください(7/5~8/28)。

〔書籍データ〕
琉球妖怪大図鑑(上・下)
著者 /小原猛
絵 /三木静
発行者/琉球新報社
印刷 /プラネット
発売日 / (上)2015/2/23 (下)2015/3/29
ISBN /(上)978-4-89742-177-3 (下)978-4-89742-179-7



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Posted by atalas at 12:00│Comments(0)島の本棚
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