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2019年04月12日

40冊目 「綾道 城辺 東・北コース」

40冊目 「綾道 城辺 東・北コース」

平成25年度から宮古島市教育委員会が、毎年地域を絞って発刊している「宮古島市Neo歴史文化ロード 綾道(あやんつ)」。もうご存知の方も多いと思われますが、島の歴史や文化をあれこれ楽しみ、散策しながら知ることが出来る、他に類をみない地域密着型ローカル無料のガイド冊子です。このほどシリーズの8冊目が「綾道」が発刊されたと噂を聞いて、どこよりも早く(?)スクープっぽくご紹介させていただきます(どういうわけか、毎年「綾道」が完成してもなぜかプレスリリースがなされないので、市民に観光客に知るチャンス、知らせるチャンスを逸している気がするので、まわりで勝手に盛り立てています)。
40冊目 「綾道 城辺 東・北コース」
今回(平成30年度)に発刊された「綾道」は、「城辺北東コース」。以前、第1弾として発刊された「砂川・友利コース」以来の城辺地区となります。しかも、城辺9字のうち7字(2字は砂川・友利なので、実質残り全部)を詰め込んだ宝箱のような一冊です(もったいないから、せめて東と北くらいに分けて作ってほしかった)。しかも、フルカラーで約70ページが無料です。この一冊があれば、歴史と文化を学び、景観と自然を慈しみ、ほぼ城辺を隅々まで堪能することが出来ます。

今回のコースはエリアが広大なこともあり、コース延長は約40キロ。所要推定時間も3時間と設定されていますが、楽しすぎて見学に時間がかかることは必須なので、おそらく本気でフルコースを廻ったら、この倍は必須の「満願全席」級になりそうな気がします。それを見越してか、フルコースを分割した「新城・保良」「西里添・下里添・福里」「長間・比嘉」と、トライアスロンのように3つのショートコースも設定されています(ショートと云いながらもそれなりにボリュームはあります)。

●新城・保良コース
旅の起点は宮古島の最南東端の東平安名崎から。すでにスタート地点にして見どころがいっぱいあります。まず、なんといっても国指定・名勝「東平安名崎」。そして「東平安名岬の隆起珊瑚礁海岸風衝植物群」(県指定)。ちなみに灯台は「平安名埼灯台」と表記します)。気づきましたか?。余談ですが、崎と岬と埼と示すものによって字が全部違っているのです。それぞれ公式表記なので気をつけたいところです。さらにここは伝説の美女マムヤに関連する伝承ポイントもあります。もうここだけでお腹いっぱいになりそうですが、他には、もうひとつの国指定天然記念物の「宮古島保良の石灰華段丘」。七又のミーマガー、ぐすくべのアギイス(七又・新城・西中)、おっぱい山、アラフ遺跡、保良元島遺跡などなど。

●西里添・下里添・福里コース
スタート地点は宮古島市城辺庁舎(発行元の宮古島市教育委員会があります)。城辺は人頭税廃止運動が盛んであったことから、区域内に人頭税廃止に活躍した人物の石碑がいくつもあり、綾道では「城辺と人頭税」のかかわりについてまるっとまとめられています。また、城辺は世界で初めて作られた地下ダムのある場所であり、特有の地形から地下ダムの構造や成り立ちについても判り易く解説されています(資料館もあります)。この他、こちらのコースでは「旧西中共同製糖場煙突」(国登録有形文化財)、「上区の獅子舞い」、「前井と御神木その周辺の植物群落」なども取り上げられています。

●長間・比嘉コース。
このコースも城辺庁舎を起点にしています。飛鳥御獄、西銘御獄にまつわる物語は、これまでの「綾道」でも触れて来た、目黒盛豊見親、与那覇勢頭豊見親、そして仲宗根豊見親の活躍へ繋がってゆく島の歴史の源流にあたります。また、山川のウプカー、野加那泉、野城泉など生活にかかせない湧水が紹介されています。中でも山川のウプカーがもたらす豊富な水によって、長間田に大水田があった記録は目を見張ります。。水の恩恵を受ける地域がある一方で、水に悩まされる地域もありました。山に挟まれた加治道は、大雨のたびに田畑が冠水してしまう低地でしたが、昭和の初めに1キロもの瑞福隧道が掘削され集落を救います。当時の高い土木技術が偲ばれます。

「綾道」にはまだまだ色々なポイントや豆知識、物語などが紹介されています。こんな風に1日ひとコースで3日かけて廻れば、確実に濃~い旅が楽しめるばずです(無論、読み物としてじっくりと読むだけでも、それはそれで楽しむことが出来ます)。

昨年、金曜特集で「綾道-平良北/松原・久貝-」を紹介した際、今後の事業計画として「城辺」の後に「上野」「池間・狩俣・大神」が計画されているとありましたが、2019年度はなんと「綾道」事業休止だそうです。予算の都合なのでしょうか、なんだかとってもとっても残念です。ぜぜひひひで、2020年度には大復活してくれることを祈りたいです。たくさんの市民の声が届け~!。
なにしろ広い宮古島。まだまだカバーされていないエリアが、計画されている地区以外にもあると思うのですよ(ぱっと思い浮かべたたけでも・・・西辺・大浦・成川あたりとか、添道・鏡原・宮原あたりとか、腰原・富名越・東川根あたりなんかはどうでしょう)。
また、近年、新たに指定されたり、今までの地区でも部分的に抜けてしまっているとことかもある気もしているので、改訂版とかあってもいいかと思います。
個人的にはさらにさらに展開して、区域だけじゃなくテーマで括って作っても面白いのではと思ったりもします。たとえば「ドイツ商船ロベルトソン号と博愛の話」とか、「人頭税廃止運動」とか、「三人の豊見親の物語」とか、「城跡・墳墓・井戸などの古の構築物」とか、流行の「水中遺跡」とか。あとはエリア区分がしづらい動物や植物など自然系を一冊まとめても楽しいはず。「戦跡編」も調査が進んでいるから、パート2がそろそろ作れるんじゃないだろうか。っと、ちょっとばかり妄想が過ぎましたが、ともあれとっても楽しい「綾道」事業の復活を切に願っています。

【書籍データ】
編集発行 宮古島市教育委員会
発行月 2019年3月
イラスト・デザイン 山田 光
平成30年度宮古島市neo歴史文化ロード整備事業

【トピックス】
宮古かいまいくいまい シーズン2
その10「島の地図、塗り替えてます!? 光さんの綾道(あやんつ)」(2017年05月26日)
現地まで足を運んで、「綾道」のイラストを手掛けている山田光さんのお話。

【宮古島市neo歴史文化ロード宮古島市教育委員会公認アプリ】
 https://miyakojimabunkazai.jp/
 ※「綾道」配布先 市内各庁舎、博物館、図書館、地下ダム資料館など

(モリヤダイスケ)

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※2015年~2018年まで
金曜特集 「島の本棚-2017-」特番
金曜特集 「島の本棚-2018-」特番



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Posted by atalas at 12:00│Comments(0)島の本棚
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