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2018年04月13日

31冊目 「平良市史第9巻 資料編7(御嶽編)」

31冊目 「平良市史第9巻 資料編7(御嶽編)」

毎度おなじみ(?)モリヤダイスケでございます。そもそもがATALAS Blogへの出塁率は高いのですが、初めて「島の本棚」を、諸般の事情から代打として性懲りもなくでしゃばって担当させていただくことになりました。とはいえ、自分ごときが本を紹介するなんて、非常におこがましいと思っておますので、やれるだけのことだけやってみたいと思います(といいつつ。知る人ぞ知る、某あんちーかんちー時代の「島の本棚」で、何回かこっそりやっていたりします)。
31冊目 「平良市史第9巻 資料編7(御嶽編)」
ということで、今回紹介させていただく本は、今や消滅自治体となった「平良市史」です。もちろん、全巻ではありません。その中のひとつ、第9巻 資料編7(御嶽編)という一冊です。タイトルが長いので、通称を“御嶽編”と云い慣わしています。
本を紹介するといいながら、純粋な読み物ではなく、思いっきり「資料」とタイトルにあるので、期待していた方はごめんなさい。
けれど、時刻表とか、電話帳とか、広辞苑とかを、そういうのを“読む”のが好きなタイプの人にとっては、実にうってつけの本だと勝手に自負しています。思い立った時に気軽に手に取って、ペラペラとページを捲り、気になったところをちょこちょこっと読んだりするには、それはもう最適解です。QEDといっても過言ではありません。その上、読み疲れて眠くなったら枕のかわりにもなるんです。

冗談はともかくとして。。。
平良市史ですが、1977年に第1巻通史編Ⅰ 先史~近代編が、平良市史編纂委員会によって編纂され、平良市教育委員会よって発刊されました。
それ以降、第2巻通史編Ⅱ 戦後編(1981年)、第3巻資料編1 前近代(1981年)、第4巻資料編2 近代資料編(1978年)、第5巻資料編3 戦後新聞集成(1976年)、第6巻資料編4 戦後資料集成(1985年)、第7巻資料編5 民俗・歌謡(1987年)、第8巻資料編6 考古・人物・補遺(1988年)、第9巻資料編7 御嶽編(1994年)、第10巻資料編8 戦前新聞集成-上-(2003年)、同資料編9 戦前新聞集成-下-(2005年)と、全10巻11冊が刊行されました。
記憶によると通史編の刊行後、それを補う資料編として、様々な角度から平良の、宮古の歴史をまとめ、資料編を13巻まで刊行する計画が予定されていましたが、2005年の市町村合併によって宮古島市となったため、平良市史のプロジェクトは計画は棚上げされ、新たに宮古島市史として編纂が開始され、2012年に「みやこの歴史」第1巻通史編が発刊されました(こちらは完売のため入手不可)。

さてさて、平良市史第9巻の御嶽編。
こちら平良市のみならず、宮古群全域(城辺町、下地町、伊良部町、上野村、多良間村)の御嶽を、10年に及ぶフィールドワークを経てまとめられた云うなれば御嶽名鑑ともいえる一冊です。収録されている御嶽の数はおよそ900。宮古の御嶽の総数が、うろ覚えですが確か1800くらいあったと記憶しているので、およそ半分もの御嶽か一冊に納められている計算になります。半分とはいえ、その圧倒的な数量は目を見張るものがあります。

毎週火曜日にお届けしている、島の石碑を巡る旅「んなま to んきゃーん」の現調査や、極私的で些末な自由研究のフィールドワークで、御嶽に出逢うことも少なくありません。そんな時、この御嶽編がとても役に立つのです。どこの集落のなんという御嶽で、なにが祀られているといった基本的な情報だけでなく、その御嶽にまつわる歴史や物語を知ることができるのです。
なんて素敵で素晴らしい本を作ってくれたことでしょう。ホント、先達の皆々様に大感謝です。この本のおかげで、宮古の文化と歴史を紐解き、謎を知る手立てとなり、知的好奇心を満たしてくれるのですから。

ただ、唯一の難点というか、弱点としては、これを読み解くにあたって、過去視の能力も必要なことです。
なにしろ刊行が1994年なので、御嶽の位置を説明する文章や、御嶽そのものが現在とは大きく様変わりしてしまっているからです。特に市街地と圃場整備が行われたエリアは、御嶽を囲う森が失われコンクリートの祠に変貌している場所などが多々あります。
また、一方で限界集落化、限界突破集落化人している地区でも、里の人たちが減り、高齢化も進み、御嶽の護り人となる人たちがおらず、祭祀が行われなくなり、門(ぞー)開きすらままならず、御獄が自然に還ってしまっている場所も多くあります。
それでもこの現代の「御嶽由来記」ともいえ御嶽編のる記録は貴重にして重要で、自由研究を進めるには欠かせない史料となっています。

31冊目 「平良市史第9巻 資料編7(御嶽編)」この平良市史御嶽編の発刊から、およそ4半世紀。宮古島市教育委員会からの情報によると、『「みやこの祭祀」宮古島市史第2巻 祭祀編(上重点地域調査』が完成したそうです。上巻では、御嶽における祭祀の内容にまで踏み込み、仔細にして詳細な調査がなされ、宮古島市史編纂委員会が編集した、渾身の一冊になっています。早ければ4月中頃には書店の店頭に並ぶという話なので、見つけ次第、即ゲットの必須確定の激レア本です。

[書籍データ]
平良市史第9巻 資料編7 御嶽編
編 集 平良市史編纂委員会
発 行 平良市教育委員会
発行日 1994年3月31日
※残部はわずかですが、まだ島内の書店にて販売中。



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Posted by atalas at 12:00│Comments(0)島の本棚
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