2017年09月01日
Vol.19 「バンチキロー(グアバ)」

まだまだ30度を超える暑さの宮古だが、ここ数日、風が北よりになり、空もぴっちゃがま(少し)秋の気配がしている。
そんな中、今あちこちでバンチキロー(グアバ)がたわわに実をつけている。バンチキローは5月頃から白い花が咲き始め、今頃まで実をつけていく。
子どもの頃、実家の裏方の畑にバンチキローの木が3本あり、実がなるのがとても楽しみだった。緑色の実が熟れてくると、黄緑から黄色に近い色になる。そしてなんとも芳しい。
でも、その芳しいバンチキローが食べられることはあまりなかった。
もうそろそろ食べ頃かなと思って見にいくとすっかり兄たちに食べられていたということがよくあった。
そのため、次からは取られないうちにと、なまーなまのものを食べ、よく便秘をした(笑)。
バンチキローの木は、畑のそばや山の中にもたくさんあり、時季が来ると幼馴染とよく採りに出かけた。どこそこに大きな木があるとか、どこそこの木はあまり知られていないからたくさんあるはず・・・などバンチキローのためならどこまでも。であった。
現在は、台湾産など大きくて中身の白いものが多くなったが、子どもの頃食べていたのは、宮古に昔からある中がピンク色のものだった。台湾産に比べると小ぶりだが、柔らかく、んまーんま(美味しい)。
バンチキローは、お盆のお供えにも使う。今年の旧盆は9月3日、4日、5日だが、お供え用の果物(梨、りんご、オレンジ、ぶどう、青いバナナなど)に加え、葉付きのバンチキローを飾るのも我が家の定番だ。
送り日の夜中12時過ぎ、ご先祖様を送ると、お供えをしてある果物が食べられる。
果物とともにこのバンチキローが食べられることがどんなに楽しみだったことか。幼い頃、お盆におばあやーに従妹同士で泊まり、なにを食べるかでじゃんけんをして決めたこともあった。
今では、道端にバンチキローが実っていても、採る人はほとんどいない。甥っ子たちに「食べる?」と聞いても、「食べない」と言う。
熟したバンチキローが落ちているのもよく見る。
私は今でもつい手を伸ばし(笑)、食べきれない時は、ジュースにしたりして味わっているのだが・・・。
食べる人は少なくなったバンチキローだが、いつまでも宮古の自然の中にあってほしいなぁと思う。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。
宮古島方言メールマガジン『くまから・かまから』
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