2017年02月03日
Vol.12 「キビ刈り」

製糖工場の辺りには甘い砂糖の匂いが漂い、キビを積んだトラックがせわしなく行き交う。宮古は今サトウキビ収穫の最盛期を迎えている。
畑には、手作業でキビ刈り(「キビ倒し」ともいう)をする姿やハーベスター(キビを倒すマシーン)が、ガガガガと音を立ていっきに刈り取っていく様子が見られる。それにしてもハーベスターの威力たるや。最初見た時の衝撃はいまだに忘れられない。

それはさておき、昭和30年、40年代はほとんどの農家がサトウキビ中心の農業だった。その収入で、子どもたちを高校、大学へと進学させた。
当時のキビ刈りは、隣近所「ゆいまーる」で行われ、たくさんの人が畑で作業をしていた。もちろん、手作業で。鎌でキビのすぅら(空、先端のこと)を切り、斧で根っこを刈りとり、重ね、山にしていく。そしてキビの1本、1本の葉柄を鎌で落とし、直径50センチくらいの束にしていく。昔の宮古の冬は今よりも寒く、また雨が多いので雨具姿で作業している姿もよく見られた。

昼ご飯は畑でみんなで食べた。あわんつ(油みそ)のおにぎり、たまなー(キャベツ)の味噌汁は、ばっしらいん(忘れらない)味だ。
2、3日かけキビ刈り作業をし、製糖工場に出す日には、コンベヤーに乗せ、トラックの荷台に積んでいく。トラックの荷台には、男の人が2~3人いて、上がってくるキビの向きを考えながら並べ、積み上げていた。バランスよく積み上げないと、輸送中に落ちてしまうので大変だ。実際、道に落ちているキビもよく見かけた。また、トラックを追いかけて、キビを引き抜く、剛の者もいた。
んきゃーんの やらびは、まーんてぃ ぼーちらど やたあ(昔のこどもは、本当にやんちゃであった)。

時代が変わり、やり方も変わっていくが、この季節にキビ刈りが行われ、甘い砂糖の匂いがしてくるのは昔と同じ。
そして、その収入は生活の糧になり、子どもの未来にも繋がっていく。
キビの収穫は3月ごろまで。
すべてが無事に終わりますように。
Posted by atalas at 12:00│Comments(1)
│宮古島四季折々
この記事へのコメント
昔日の収穫作業の情景が目に浮かぶ様ですね。
サトウキビではありませんが、トウモロコシの事をこちらでは「キミ」と言います。
「ゆいまーる」は「結い」、「すぅら」は「うら(末)」、「たまなー」は「たまな(玉菜)」で同じですね。
因みに「白菜」は「ちふ(芝罘)」と言っていました。
サトウキビではありませんが、トウモロコシの事をこちらでは「キミ」と言います。
「ゆいまーる」は「結い」、「すぅら」は「うら(末)」、「たまなー」は「たまな(玉菜)」で同じですね。
因みに「白菜」は「ちふ(芝罘)」と言っていました。
Posted by さぬき at 2017年02月04日 16:23