2016年06月03日
Vol.4 「キャーギ(イヌマキ)」

青い空に白い雲が浮かび、気温31度。梅雨が明けたかのような宮古だったが、やはり、んな ぴっちゃ(もう少し)梅雨は続くようだ。
この時季、早朝ウォーキングをしていると、山の中からは、かばすかざ(良い香り)がしてくる。月桃の花や、ゲッキツの白い花、ツル状の紫色の花たちが賑やかで、香りを競っているかのよう。

そんな中、キャーギギー(イヌマキの木)は、そっと小さな実をたくさんつけていた。
おごえー、気がつかなかったさいがー。この時季はまだ青いんだね。ふたつの粒がくっついてかわいいがま。実はこれから夏にかけて赤くなり、そして黒っぽくなると食べられるようになる。少し、ヌメッとして甘味のある実は、やらびぱだ(子どもの頃)おやつだった(木の実とあらば何でも食したのだよ)。

キャーギの葉は、仏花としても宮古ではよく使われる。実家では、仏壇を始めとして、ゆーぬかん(富の神)、うかまがん(火の神)、まうがん(守護神)の棚に常に供えている。
日持ちもよくて、水さえ替えれば2~3週間は生き生きとしている(時々水を忘れて、カラカラになっているキャーギを見て、あわてて庭に走ったりすることもあるが)。
また、キャーギギーはとても固く、昔は建築材としてもよく使われていたとのこと。
シロアリにも強いようだ。父は、床柱によく使われていたと話していた。
ずぐーる(コマ)も作ったが、木があまりに堅くて、削って形にするのに1週間もかかったそうだ。昔は今よりももっと利用されていた木だった。

子どもの頃から身近にありすぎて、和名がなんであるとか、若葉がきれいだとか何も気にかけたことがなかったキャーギ。誇示することなく、宮古の季節の中で営々と根付いている。
今、かわいい実をつけています。ぬかーぬか みーみーるよ(ゆっくり見てみてね)。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。
Posted by atalas at 12:00│Comments(0)
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