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2016年04月01日

Vol.2 「ざうかに(グミの実)」

Vol.2 「ざうかに(グミの実)」

収穫の終わったキビ畑に、タイワンミャーツキ(ムラサキカタバミ)の花が揺れ、空には、ガイチン(セッカ)がチンチンと鳴いている。そんな中、1月に白い花を咲かせ、緑色の実をつけていた「ざうかに(グミ)」も赤色になり、食べごろとなる。
Vol.2 「ざうかに(グミの実)」
今ではあまり見かけなくなったが、私が子どもの頃は山(高い山ではなく、雑木林のように木や下草がたくさん生い茂ったところも宮古では山と言う)があちこちにあり、その中にざうかにの木はたくさん自生していた。

地域によっては、「ざんかに」、「ぞうかに」、「ざんかにう”」と言う。昭和30年代、40年代頃までに子ども時代を過ごした人にとって、ざうかには、思い出深いものだ。種類は分からないが、内地のグミより小ぶりのような気がする。
Vol.2 「ざうかに(グミの実)」Vol.2 「ざうかに(グミの実)」
やらびぱだ(子どもの頃)、この時季になるとざうかにを求めてあっちの山、こっちの山と駆け巡った。大きい緑色の葉に隠れるように、実がなっている。葉をめくり、たくさんの実を見つけた時のうれしさと言ったら。心躍るようであった。

より赤いのを選んで口に入れる。少しざらざらとした皮、薄い皮の下にトロっとした果肉。ギザギザの種の周りには僅かな果肉しかないが、甘酸っぱい味は忘れられない。真っ赤に熟した実は特に甘く、それが鈴なりになっているのを探すのが楽しかった。Tシャツの裾やスカートの裾を広げその中に入れたりもした。

「メールマガジンくまから・かまから」のライターひさぼうさんは、やらびぱだ(子どもの頃)、次のようなざうかにの歌を歌っていたという。

食べ飽きた、ざうかにを指でギュッとつまみ、種をビュッと飛び出させ
あんなが ちーちー(母の乳)
うやが ちーちー(親父の乳)
ブッ♪


Vol.2 「ざうかに(グミの実)」「ブッ」というところで、種を出すという事でしょうね。
母の乳は理解できても、親父の乳とはどういうことか?歌っていた自分たちも分からないと書いている。確かに。
私たちは、口の中の種を飛ばすみゃー(飛ばす競争)はしたが、歌は歌わなかった。先輩たちは、歌もでるほど、よりざうかにと密接だったのかもしれない。
今年は寒さが長かったせいか、または、裏年なのか、ざうかにの実はあまり見られないが、子どもの頃からの習性でざうかにの木を見ると、実がついていないか、つい見てしまうのである。

松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。



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この記事へのコメント
はじめまして、教えていただきたいのですが、このざうかには今現在でもありますか?
場所とかご存じでしたら教えていただけないでしょうか?
Posted by 崎原 at 2018年10月09日 18:25
崎原さん、コメントありがとうございます。ざうかには、昔ほどみかけなくなりましたが、今でもありますよ〜。記事の写真は下地の川満の畑に植わっているものです。(うちの畑ではないので採るのは・・・)周りは畑ばかりで目印となるものがないので教えるのが難しいのですが、空港前の道路から下地線に向かい、下地線の信号のある手前の道を上野に向かって200メートルくらいいったところの右側の畑です。と言っても分かりにくいですねー。一本だけなのでよく見ないと分かりにくいと思います。山(雑木林)などに行けばあるかとは思いますが、山が少なくなってからので難しいかもしれませんね。
Posted by 初美 at 2018年10月12日 05:47
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