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2018年10月26日

Vol.30 「トックリキワタの花に」

Vol.30 「トックリキワタの花に」

10月も中旬を過ぎると朝晩、ひんやりとするようになった。
寝るのにタオルケットでは心もとなく、毛布を出してきた。
ついこの間までクーラーなしではいられなかったのに、夏の色は小さくなっていく。
Vol.30 「トックリキワタの花に」
11月上旬くらいになると、ひときわ目立つピンクの花が咲く。トックリキワタの花だ。
私が子どもの頃は、宮古で見かけることはなかったが、最近市内のあちこちで見るようになった。
青空に映え、まるで秋の桜のよう。
Vol.30 「トックリキワタの花に」
トックリキワタの原産地は、中南米などでウィキペディアによると日本では1964年に沖縄県に導入されたとのこと。
宮古に渡ってきたのは、それから20~30年後くらいだろうか。
トックリキワタという名前は聞いたことはあったが、どんな花か知らなかった。
10数年前、下地の元役場近くの民家で満開のピンクの花を初めて見た。青空に映え何とも美しい。
後でこの花だったことが分かり感動したのを覚えている。
名前の由来は、幹がとっくりのようにふっくらとしていて、キワタは木綿。花が咲いた後、実がなり、そこに綿ができるため付いた名前らしい。実が割れて、中の白い綿がふっくら現れるのもまた目を奪われる。
Vol.30 「トックリキワタの花に」
トックリキワタの花を見ると、思い出す人がいる。
母の妹(叔母)だ。
小さい頃からいろいろお世話になり、大人になってからは叔母の言葉に救われ、励まされた。温かくて、優しい人だった。叔母は9年前の11月に亡くなった。
その頃、東京に住んでいた私はすぐ宮古に飛んだ。斎場に向かう車中、ずっと外を眺めていたら、山林の中にひと際目立つピンクの花がある。トックリキワタの花だ。車窓はすぐに変わったが、花は目の奥に残り、心が慰められるようだった。あれから、トックリキワタの花を見ると叔母の顔が浮かぶ。
Vol.30 「トックリキワタの花に」
今ではトックリキワタの花はあちこちで見られる。下地線の馬場団地のあたり、カママミネ公園、レストラン「ばっしらいん」前、袖山付近、空港駐車場等々。綿ができるのは4月~5月頃だ。

そろそろトックリキワタの花が咲く。今年も道行く人を楽しませてくれることだろう。

松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。

宮古島方言メールマガジン『くまから・かまから』
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