2018年08月24日
Vol.28 「すとぅがつ(旧盆)」
立秋を過ぎると、真夏とは違う風を感じるようになる。
季節は順調に進んではいるようだ。タマスダレがこのところの大雨で満開。可憐な花がかわいいがま。
台風の後によく咲くところから、“たいふうばな”と呼ぶ人もいる。
今日(新暦8月24日)は、すとぅがつ(旧盆)の中日。昨日は無事にご先祖様を迎えた。
親戚も集まり、ご先祖様も帰ってきているから賑やかだ。
宮古では、旧暦の7月13、14、15日にお盆をする。旧暦なので、8月だったり、9月だったりする。
旧盆が近くなるとスーパーは、お盆用の品々があふれる。かびじん(紙銭)も高く積まれている。知り合いは「今流行りの火葬通貨」と話していた(笑)。
旧暦の7月7日(七夕)には、お墓の掃除をしてご先祖様が無事に家までたどりつくように準備をする。
13日は、仏壇にお供えをし(杖を模したサトウキビ、スイカ、バナナ、りんごなどの果物に、バンチキロウ≒グアバは必須、夕食≒炊き込みご飯や吸い物、刺身、天ぷら)など)、香を焚き、家の外から仏壇まで案内する。
「ともぅしーいき すとぅがっつぅ すきもーき すぅーっちゃ とぅもしらい ふぃーさまち」
(お供してお盆のお供えを差し上げますのでお供されて来てくださいね)
現在、実家の先祖の案内は兄の役目だ。父に教えてもらっていた迎えの言葉を必死に覚え迎えた。
2日間は、あさむぬ(朝食)から、10時のおやつ、お昼ご飯、3時のおやつ、夕飯とお供えをする。本当に家にいるかのようなおもてなしだ。中日は、親戚周りをする人が多い。我が家もこれからお中元をお届けし、仏壇に手を合わせてくる予定だ。
そして、明日は、送り日。重箱にごちそうを入れ供え、あの世でお金に困らないようにとかびじん(紙銭)を焼く。親戚のおばさんたちもこれも焼いてねと紙銭を持ってくるので、煙もうもうだ。でもこれでお金に不自由しないのであれば仕方ない(笑)。
私が子どもの頃は、15日の夜中12時を過ぎなければ、送ることはしなかった。送った後は、お供えものの争奪戦。この頃のことは兄弟、いとこたちの間で語り草になっている。
お供えした物を少しずつ切り分け、ご先祖様へのお土産にと持たせる。それを持ち外まで香を灯し、また来年、んみゃいふぃーさまち(お越しください)と送る。
お盆が終わると、夏から秋へと季節が一歩進む。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。
宮古島方言メールマガジン『くまから・かまから』
http://km22.web.fc2.com/
Posted by atalas at 12:00│Comments(0)
│宮古島四季折々