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2017年11月03日

Vol.21 「ツバメと黒あずき」

Vol.21 「ツバメと黒あずき」

台風が去り、宮古もふく風に秋を感じるようになってきた。半袖では心もとなく、薄い長袖や七分袖に夜は何か羽織るくらいがちょうどいい感じ。
11月は宮古の衣替えの月だ。

さて、ツバメである。
ツバメは宮古に春(2月~4月)と、秋(9月~10月頃)にやってくる。
低空をサーっサーっと飛び、俊敏な姿がカッコイイ。
先日は、電線にとまっていたのを見かけた。
Vol.21 「ツバメと黒あずき」
ツバメのことをうちのあたり(下地高千穂)では、「マミマーラ」と言う。地域によってその呼び名はさまざまのようで、『宮古の自然と文化』第3集に掲載されている渡久山章氏の「ツバメの方言名とその由来、及び各地におけるツバメ観」には、伊良部の佐和田では「マミナラシャ」、狩俣では「マミヌパナ」川満、砂川では「マミマーリャ」と言うそうだ。Vol.21 「ツバメと黒あずき」

いずれにしても「マミ」(豆)が付いている方言名だ。先の本によると、ツバメは春に来る時は、豆の種は蒔いたかーと飛来し、秋には豆はよく実って収穫しているかーとやってくると言われているそうだ。それで昔のおばあさんたちは「ツバメは神の使い」とよく言っていたとのこと(なんとも素敵なお話し)。

豆にもいろいろ種類があるが、今私は、ッフマミ(黒あずき)のとりこになっている。ッフマミ(黒あずき)と言うと十五夜に作る「フキャギ」の外側に付ける豆として宮古ではなじみがあるが、内地ではほとんど見かけない。
しかし、最近は内地でも知られるようになっているようで、宮古から送ってもらっている人も多いようだ。栄養価が高く、ポリフェノールも豊富でデトックス作用もあるという。
Vol.21 「ツバメと黒あずき」
以前は、硬い豆というイメージがあり、あまり好んで食べることはなかったのだが、今は、ゆで汁はお汁粉のようにして砂糖を入れて飲み、豆はご飯に混ぜて食べている。その香ばしさと美味しさと言ったら。

Vol.21 「ツバメと黒あずき」母は、ッフマミとまんじゅう(青いパパイヤ)を煮たものをよく作っていた。子どもの頃は、美味しいと感じることはなかったが、相性のいい煮物だったなと今思う。

ッフマミは秋前に収穫し終えるようだが、台風の際に雨が降り、また生り出したよと友人が話していた。収穫をして脱穀。虫食いの部分を拾い…と食べるためには手間がすごくかかるそうだ。

宮古で生まれ育った私には、地産のものが体によく合うのだとこの頃実感をする。宮古にUターンしてきてから3年が過ぎたが、風邪をひくこともなく、体調すこぶる良しである。

そろそろツバメは、旅立つ頃か。
今度はまた春に会うことになる。
来年の春、ツバメを見つけたら、「神の使い」だと思い、豆を蒔き、育ててみたいなと想像を巡らせている。


「沖縄県宮古島特産の黒小豆(ササゲ)の生産と利用の現状」(pdf)

松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。

宮古島方言メールマガジン『くまから・かまから』
http://km22.web.fc2.com/



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