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2017年04月07日

Vol.14 「デイゴの花咲く」

Vol.14 「デイゴの花咲く」

南国宮古といえど三寒四温を繰り返し、このごろやっと春(初夏)を実感するようになった。今年はまさに寒さと温かさの繰り返しで、ぴしーぴしだったり、ぬふーぬふだったりと、着るものも冬と春を行ったり来たり。
そんな中でも植物は、わずかな春の暖かさも見逃さず、3月中旬頃からデイゴの赤い花が咲きだした。赤い花は青空によく映え、天気の良い日はすぐ目に留まる。
Vol.14 「デイゴの花咲く」
デイゴは葉がない状態で花をつける。木全体に花をつける場合もあるが、その年によって、あるいはその木によって、花の付き具合が違ったりする。また、デイゴの花がたくさん咲くと台風の当たり年になるとも言われる。

Vol.14 「デイゴの花咲く」今年は、市役所駐車場隣りの琉米会館跡地にあるデイゴの木にはたくさんの花が見える。植物園には樹齢50年以上になると思われる立派なデイゴ並木があるが、こちらはあまり咲いていなかった。これからかも(余談だが、今植物園が大人気だ。観光バスがひっきりなしに止まり、観光客がたくさん訪れている。きれいに整備され、花々も咲き乱れ、なんともきれいだ)。

デイゴは、宮古島市の「市花木」になっているくらい、宮古の人にとってはとても身近なものだ。歌のタイトルや歌詞の中にも登場する。
下地イサムさんは「野崎里」の中で、「前真座ぬ大梯梧木(まやまざーぬ うぷどぅふぎー) 下ん座じうー(すたん びじうー) おばぁ達が 笑い声ぬ美しさ」と、地元での風景を歌っている。
ガルフは「デイゴの赤の輝く下に」の中で、島の両親や家族の絆を願い、「心からいつもここで そう守っている デイゴの赤の輝く下に」と歌っている。

Vol.14 「デイゴの花咲く」宮古島出身の女性で、初の交響曲を作曲したことで知られる金井喜久子は、音楽との出合いについて著書『ニライの歌』の中で次のように書いている。
出合ったのは、北小学校時代の春の頃。「赤一色に染まって校庭に落ちこぼれた梯梧の花は、宝石のように幼い心を引きつけた。頬にあて、唇にふくんだ・・・その時天来の妙音が、あたりをふるわせた」と書き、赴任してきたばかりの先生の弾くピアノとの出合いを音が流れるような文章で書いている。

また、宮古の民謡「トーガニアヤグ」の中にも梯梧の花がでてくる。
春の梯梧(でいぐ)の 花(ぱな)の如(にゃ)ん
宮古のアヤゴや そね島(ずま)、糸音(いつうね)や
あて美(かぎ)かりやよ
親国(おやぐに)がみまい 下島(すむずま)がみまい
とよまし見うでよ


Vol.14 「デイゴの花咲く」この歌は、宮古研究の父と言われる慶世村恒任が宮古民謡集を出すことになり、このことを大喜びした下地恵栄翁が慶世村と宴を設けた際に、即興で詠んだ歌なのだそう。なんとも心に沁みる。
デイゴの花は、宮古の人々のさまざまな場面に寄り添い、暮らしを見てきたのかもしれない。しばらく見ごろが続く。



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