第99回 「土木学会・田中賞/全日本建設技術協会・全建賞」
いよいよ連載100回にリーチがかかった99回目の「ん to ん」です。とはいえ、気負わずにあいかわらずの平常運転で推して参る。
さて、今回の石碑…というか、プレートというか、賞状というか、形容しがたい形状の記念モノです。
すでにタイトルからお察しの通り、土木建築系の賞なのですが、近年完成したの宮古地区の建造物といえば、もちろん2015年1月31日に開通した伊良部大橋です。
伊良部大橋の伊良部島側の橋詰に、こちらのふたつのプレート(以下、便宜上プレートで統一します)がトラバーチンの台座とともに設置されています。伊良部大橋は通行料金を徴収しない橋としては日本最長であり、県内最長の橋(3位、来間大橋。4位、池間大橋)で、全長3540メートルあります(本橋部3540メートル、海中道路600メートル、取付橋梁170メートル、取付道路2190メートルで、総延長は6500メートルになる)。そんな伊良部大橋に新たな勲章が加わったのです。
まずはひとつめは「全日本建設技術協会・全建賞」というもの。賞を選定しているのは一般社団法人全日本建設技術協会で、国土交通省、農林水産省、都道府県及び市町村、機構・公社に勤務している、日本最大の建設技術者の団体だそうです。
協会名を冠したこの全建賞は特出した成果の得られた公共工事に対して贈られるもので、沖縄県宮古土木事務所建築課の「伊良部大橋橋梁整備事業(一般県道平良下地島空港線)」が、2014年度の「全建賞」として選ばれました。
尚、宮古管内からは2004年に、「新多良間空港境整備事業」以来となるそうです(通算5度目)。
ま、いうなれぱ公共工事界のローレル賞
*1といったとこでしょうか(対象の道路部門だけでも16事業に贈られています)。
一般社団法人 全日本建設技術協会
平成26年度全建賞受賞事業(全60事業)
もうひとつは公益社団法人土木学会が選定している、田中賞というものです。こちらの団体は土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、土木工学、学術文化の進展を目的とした学術系の団体で、田中賞は橋梁を中心とした優れた業績に対して贈られます。
この田中賞の由来は、1923(大正12)年の関東大震災後の首都の復興に際し、帝都復興院の初代橋梁課長として、隅田川にかかる永代橋や清洲橋といった名橋(いずれも重要文化財に指定)を生み出した、日本近代橋梁史上、もっとも著名な技術者である田中豊博士(1888-1964)に因んでいます。
ちなみに、この年は日越友好橋(ベトナムは漢字で“南越”と書く)として、ニュースでも大きく話題になった、ベトナムはハノイ市の
ニャッタン橋も選出されいます(横浜の
鶴見つばさ橋にシルエットがどことなく似ている)。
公益社団法人土木学会
田中賞
余談になりますが、この土木学会のHPにある「
土木図書館デジタルアーカイブス」はおすすめです。
古い土木建築物の写真を初め、災害時の資料写真、マニアックなダムや橋梁の画像がたくさん集められています(もっと深く潜ってゆくと、鉄道院時代の史料とか、満州の土木雑誌とか、設計図面とかお宝画像が色々あって、土木系マニアにはたまらないかも)。
沖縄県 伊良部大橋(概要)
【関連石碑】
第16回 「伊良部大橋開通記念碑」
第17回 「伊良部丸遭難の地 慰霊碑」
*1 ローレル賞 鉄道友の会の選考委員会が審議し、優秀と認めた日本の鉄道車両に対する賞である(最優秀はブルーリボン賞となる)。
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