第2節 「夏至のころ」
はーい、がんずううらまなんなー?(お元気でいらっしゃいますかー?)
んなま(今ごろ)の宮古は梅雨のまっただ中で、ぷみきて(湿度充満して)いる頃しょうか。
今年は沖縄地方の梅雨入りが少し遅れたり、全国でも夏日になるのが早かったり、台風が5月のうちにやってきたりと例外続きで、時節ネタのコラムを書くのになんだかもどかしさを感じている本村です。
さて、6月になりました。夏至の日が近づいてきていますね。日の暮れるのが遅くなり、宮古のあたりだと20時近くまで空が明るかったりする時期ですよね。こちら(首都圏)は19時ごろには薄暗くなりますが、代わりに朝は4時すぎから明るくなります。
そして昼間が長くなるとともに、太陽の高度が一年でいちばん高くなる時期でもあります。
この頃の宮古は晴れると、正午頃に直射日光に脳天を直撃されます。いえ、比喩などではなく実際に。ほぼ直上(90度)の位置に太陽が来るのです。
夏至の日の南中高度を測る計算式があります。
90 - その地点の緯度 + 23.4度
※国立天文台「よくある質問」より
宮古の緯度はだいたい北緯24.5度前後。
これを、さきほどの計算式に当てはめると、
90 - 24.5 + 23.4 = 88.9度(※)
となります。ね、ホントにほぼ真上でしょ?
※基準となる緯度の値や標高などの関係により、実際の値とは異なります。国立天文台暦計算室の「こよみの計算」CGIで算出すると、宮古島市の夏至の南中高度は88.6°となります(2015年夏至は6月22日。宮古での南中時刻は12:40:44です)。
北半球の夏至は、北回帰線の直上で太陽が南中するのですが(図参照)、そこから北に1度ちょっと北に位置する宮古でも、直上に近い状態で見られる、というわけです。これ、もう少し観光資源にしてもいいトピックなんじゃないかなといつも思うのですが。
ちなみに、宮古よりもやや低緯度にある八重山諸島はもちろん、宮古以上に脳天直撃です。
参考までに、東京(北緯約35.5度)の夏至の日の南中高度は77.8度。札幌(北緯約43度)だと70.4度になります。
そういえば私の子ども時代は、土曜日の帰宅時間がまさに正午前後。制服のプリーツスカート断面のぎざぎざの円が、そのまま陰の形でした。おなかをすかせて家に向かう道すがら、陰がどこにもなく、ほんの10分ほどの道のりでしたが、汗はだらだら、頭ふらふらだったさー(遠い目)。
この太陽の高さもある意味、宮古の風物詩。
夏至が近づくと、旧暦5月4日のハーリー(爬龍船レース)の季節。昔の五穀豊穣や、子どもの健康を祈る行事ですね。
ハーリーのドラ鐘が鳴ると、梅雨が明ける、という風にいわれています。また、夏至のころに吹く風を、カーツ パイ(夏至南風/ka
ːtsɨ bai)といい、この風もまた、梅雨明けの合図だといわれています。
じめじめの季節はもう少し。そして夏至を過ぎれば、そろそろマンゴーの季節♪そして、いよいよ宮古の海の見せ所、夏本番に突入ですね!!
参考文献:
『暦の科学』片山真人 著, ベレ出版, 2012年(ISBN-978-4-86064-320-1)
《第一金曜担当》 本村佳世-モトムラカヨ-
手賀沼のほとりに暮らす、平良系純血種の宮古人です。
ATALASネットワークでは、おもに経理とホームページを担当し、方言と旧暦について勉強しています。
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