第37回 「すなかぎくがに」
6月期の城辺編最終週は記念碑ではありませんが、ある意味とても有名な啓蒙看板の「すなかぎくがに」を取り上げてみたいと思います。
この看板は城辺地区の集落の入口や、四辻(十字路)などの目立つところに建てられた啓蒙標語の看板で、城辺地区で育った特定の時期の人々にとっては忘れられない標語となっているようです。
「すなかぎくがに」
宮古口(みゃーくふつ)の意訳として「素直でやさしい社会の宝」と添えられていますが、もう少し分解していくつかある要約のネタをあてはめてみると…。
すな=品~品行方正
かぎ=美(か)ぎ~美しい
くがに=黄金~宝
という意味になるようで、どうやら子どもに対する褒め言葉となっています。
※訳に対する不備やご意見、また、この言葉を云われたり発したりしたしたことのある方からのご感想をお待ちしています。
そんな看板を今回取り上げた理由ですが、城辺編をやるにあたり、ある意味とても有名なこの標語の看板を取り上げてみたく、いくつか記憶していた設置場所へ撮影に行くも、すでに看板がなくなっていたり、別の標語に変わっており、ひとつとして撮影することができませんでした。
これはきっと城辺から「すなかぎくがに」な子どもたちが消えてしまったから・・・ではないかと思いますが、どうやら「すなかぎくがに」と書かれた看板は絶滅種となってしまったようなのです。
画像の看板も実は、2010年6月に比嘉入口に設置されていたものを撮影しました(現在、比嘉入口にはまもる君も「すなかぎくがに」もなくなってしまった)。
改めてよくよく見てみると城辺町教育委員会が設置している看板だということが判り、2005年の市町村合併で宮古島市になったことを考えると、消滅せずによくぞこの時まで残っていたともいえます。
現在、存在が確認のできる「すなかきくがに」は、島内各地の国道(主要地方道・県道)を維持管理する、沖縄県宮古土木事務所が距離標柱(キロポスト)に、小さく「スナカギクガニ」と書き込まれた化粧ポールが建てられいます。そこに書かれた意訳解説では、「品性豊かな子ども」と添えられており、また少しイメージのことなる解釈になっています。
ただ、こちらのポールは元である城辺地区に限って設置されているわけではないのと、別の文言バージョン(タンディガータンディとアグガパナドゥスガバナ)も存在するため、従来の「すなかぎくがに」の啓蒙標語看板のインパクトにはとうてい及びません(画像をクリックすると大きくなります)。
もう「すなかぎくがに」の看板は幻になってしまったのだろうかと探した結果、なんと城辺中学校の昇降口に大きな看板があることが判り、早速見に行ってきました。
す 素直な生徒になろう。
な 何事も最後までやり遂げるようにしよう。
か 感謝の心を持とう。
ぎ 行儀作法を身につけよう。
く 苦しくても弱音をはかず頑張ろう。
が 学習を進んでししよう。
に にこにこ笑顔で明るいあいさつ。
平成七年度 生徒会 生活専門委員会
「すなかぎくがに」になるための七か条のような展開にちょっと驚かされつつも、どことなく「すなかぎくがに」になるハードルが以前よりも上がっている気がしました。がんばれ城辺っ子!
【募集】あなたの見つけた「すなかぎくがに」の看板を教えてください。
【資料】
宮古島市立城辺中学校
【オマケ】 途中、前篇と後編に「すなかぎくがに」の話が登場します(あんちーかんちー 2009年/2011年)
日本最南端の国道を行く-Route 390- 前編
日本最南端の国道を行く-Route 390- 後編
日本最南端の国道を行く-Route 390- 完結編
連載企画 「んなま to んきゃーん」
なにかを記念したり、祈念したり、顕彰したり、感謝したりしている記念碑(石碑)。宮古島の各地にはそうした碑が無数に建立されています。
それはかつて、その地でなにかがあったことを記憶し、未来へ語り継ぐために、先人の叡智とともに記録されたモノリス。
そんな物言わぬ碑を通して今と昔を結び、島の歴史を紐解くきっかけになればとの思いから生まれた、島の碑-いしぶみ-を巡る連載企画です。
※毎週火曜更新予定 [モリヤダイスケ]
『(仮称)ATALAS ファンクラブ~宮古学~』 入会募集(予定)
宮古在住者限定で、おのおのが日夜、情熱と好奇心に任せて研究しているネタ(テーマ)を、相互に発表(おしゃぺりして)して座を楽しもうという緩いサークルを立ち上げようと計画しています。
ちょっとアカデミックな馨りを醸し出してみようと「宮古学」などと謳ってみましたが、特別な研究者である必要はなく、「日曜大工」ならぬ、「日曜研究家」として、面白おかしく文化や歴史など知的好奇心の探究を一緒に妄想しませんか?。時には現地調査と称した冒険の旅(いわゆる聖地巡礼とか)に出たりして、専門家の先生をゲストに呼んで座談会という名の質問大会とか、色々気になるコトを共に楽しむ宮古島の文系仲間の募集です。
【入会資格】
・基本、宮古在住であること(リアルなフィールドワークが可能)。
・なにかしら研究テーマ(ネタ)を持っていること(聞き逃げ禁止)。
・会費などは今のところ未定です。
・活動は最低でも月イチくらいでゆんたくが出来たらいいかなと。
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※まだ会の発足にまでは至っていませんが、興味がある方は是非!
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