宮古島市教育委員会で発刊する、島の歴史を散策を楽しみながら知ることが出来る無料のガイド冊子、「宮古島市Neo歴史文化ロード」シリーズの7冊目となる「綾道(あやんつ) 平良南/松原・久貝」コースが、完成したとの情報を得てましたので、スクープ並みの猛速でご紹介させていただきます。そして「綾道」プロジェクト(?)の更なる発展を勝手に応援したいと思います。
「綾道」はこれまで、「砂川・友利」「平良北」「下地・来間」「宮国・新里」「伊良部」と、「戦争遺跡編」の6冊が発行されています。A5サイズで持ち運びにも便利で、見ても楽しい散策マップも充実しています。小難しい歴史の紹介なども、イラストと写真をふんだんに使ったフルカラーで、かなり判り易く紹介されています。
そんな「綾道」シリーズの最新巻「平良南/松原・久貝」コースは、1冊で2度おいしい平良南コースと久松コースがセットになっています(62P)。
平良南コースは先行して作られていた東・西仲宗根を中心とした平良北コースと対をなす、平良市街地の南(西)側の史跡を中心に、名所旧跡をモデルコースで紹介しています。
北コース同様に市役所を起点とし、ニーマトゥクルザー御嶽(与那覇勢頭の屋敷跡に由来する御嶽)から、本村家「報本」碑、アツママー御嶽、東原御嶽、平良第一小学校の旧正門と石垣(あわせて宮古高校旧正門と宮高女の跡地の碑も)、ツヅピスキアプ(南小そばの洞穴)、カママ嶺公園の石碑群、ピキャズ、大立大殿みゃーか、西ツガ墓などを巡ります。
また、これに加えて平良の“字”の話、市場と通りの話、馬場団地の謎、宮古島のサトウキビ栽培の発祥の地など、面白いコラムも充実していて読み物としても楽しむことが出来ます。
久松コースは、久松漁港をスタート地点として、集落の最大の祭祀である海神祭の紹介(ハーリー・獅子舞・角力)を紹介し、ウプドゥマーラ御嶽と五勇士の碑をから旧海岸線をだどりながら、久松みゃーか、ウプザー御嶽(ンムヌ主)、クジナ御嶽、ミヌズマ(古井戸と大規模な集落遺跡)、スキラマダニアーズ御嶽などを取り上げています。また、松原・久貝と久松と野崎の関係が判る話、伊良部や下地・来間とつながりが見えてくる話、島の英雄の陰に野崎嫁ありというような話など、思わず「へーっ」と云いたくなる話題が色々と詰まっています。
こうした地元の歴史や文化を深く掘り下げて、地域に寄り添った素晴らしい取り組みは、単なるガイドブックにとどまらず、理解の難しい歴史や文化に対する入門書的な役割りもになっており、他の市町村ではなかなか見受けられないモデルなので、ぜひ、これを宮古島モデルとして“売り”にすれば、リゾートだけじゃない島の楽しみ方を大きく広げることになる力を秘めた、素晴らしいコンテンツなのではないかと注目しています。
尚、今後の事業計画としては、2019年度は「城辺」(既存の砂川友利を除く)が予定され、その後は「上野」「池間・狩俣・大神」が計画されているそうですが、勝手な感想ですが、さすがに残りの城辺地区をまるっと1冊にしてしまうには、ボリュームがありすぎるような気がします。「綾道」は地域を深く知る機会が得られるだけでなく、“島”の小さな文化を知る手立てにもなっており、とても魅力的で素敵な事業だと思います。現に一部では高く評価されていますので、地域編の区割りをもっと細かくしてもいいのではないでしょうか。
また、戦争遺跡編のようにテーマを絞ったりしても面白いのではないかと、勝手に妄想します(たとえば人頭税を巡るコースとか、ロベルトソン号と博愛とか…色々ネタはあると思う)。また、インパウンド景気にも湧いている今なら、気軽に回れるショートコースを多言語化するというのもありかもしれません。
さらにこの事業がなにげに凄いのは、紙モノだけでなく、スマートフォンアプリにもリーチしていることです。残念ながらまだ、すべてのコースがそろっているわけではありませんが、市教育委員会でそこまで多角的に編成しているような自治体は、あまり例がないのではないでしょうか。早くこちらもすべてのコースがラインナップされて欲しいものです。
欲をいうなら、電子書籍向けにPDFの配信などもしてくれたら、印刷代もゼロですから増刷の手間もなくていいのではないでしょうか?(残念ながら、既存コースの一部が欠品しているようです)。
最後に野望を込めて・・・。ただ読んで楽しむだけでなく、使い手側も市と一緒に宮古島モデルの「綾道」を盛り上げて、世界標準通級の歴史文化の入門ガイドブックとして、島を広くアピールするフラッグシップコンテンツに、これを推してしまうというのはどうでしょうか!。
※「平良南/松原・久貝」コースは、4月頃から市内の各所にて配布される事になると思われます。
【トピックス】
宮古かいまいくいまい シーズン2
その10
「島の地図、塗り替えてます!? 光さんの綾道(あやんつ)」(2017年05月26日)
現地まで足を運んで、「綾道」のイラストを手掛けている山田光さんのお話。
【宮古島市neo歴史文化ロード宮古島市教育委員会公認アプリ】
https://miyakojimabunkazai.jp/
(モリヤダイスケ)