夏休みも終盤です。
先月に引き続き、第4金曜日のいつものアレがおやすみなので、今週もまたアノ方の登場です。
前進未踏の3か月連続代打の疾風怒涛の6度目の登場です(感謝)。
みなさんこんにちは!
この夏、宮古島では雨が降らないと嘆く声も多く聞かれましたが、最近はカタブイ(片降り)で洗濯物を濡らしてしまって、ガックリした方も多いのではないでしょうか?私もそのひとりです。
宮古在住15年にして宮古口を話せないし聞き取れない、そんな川上良絵が普段着の宮古口をドゥーカッティ(自分勝手)な考察を交えて紐解いていく、『宮古口見聞録"』第6回。本日はそのカタブイからスタートです!
【カタブイ】
「片降り」のこと。
宮古のことわざで
「なっつぁみゃー うすぃぬ かたどぅー ゆば むましってぃ かたどぅー ゆば むまさん」
(夏雨は牛の片側を濡らして片側は濡らさない)
という言葉があります。
もっと短い言葉で、
「うぷうすのかたどぅ」
(大きな牛の片側だけが濡れる)
と言うおばあもいます。
どちらにしても、そんな極端な!と思いますが、宮古の夕立ちは内地のそれとは違い、本当にピンポイントに土砂降りになるので、実際にありそうな光景です。
さらに調べてみると内地のことわざでも似たものがありました。
「夕立は馬の背を分ける」
宮古ほどポピュラーではないようです。やはり内地の夕立ちを表現するにしては大袈裟だったのかもしれません。
内地ではお天気雨が降ると、「狐の嫁入り」と言います。空は明るいのに小雨が降っていて不思議な感じの気象現象です。
カタブイも狐の嫁入りも、そのあとで虹が見えることが多いので、雨上がりには空を見上げてみたいものです。
【トヨトミヒデヨシ】
これも高齢者の方に教えてもらったのですが、宮古にはトヨトミヒデヨシがいっぱいいるんです!
どういうことかと言うと・・・。
「トヨさん」
「トミさん」
「ヒデさん」
「ヨシさん」
で、大正や昭和初期生まれに多い女性の名前です。確かに!います!いっぱい!
他にもこんな上手い感じのが出来ないか思案しましたが、私のオツムでは「チヨのフジ」くらいしか出来ませんでした。しかし、後日また教えてもらいました。
「ツルカメマツタケ」
です。
なるほどー!いるいる!と思いましたが、まぁ、これは縁起の良い言葉を女の子に名付けたのでしょう。それにしても「トヨトミヒデヨシ」最初に気付いた人はすごいです。
【トゥナー】
「ツナ」(tuna)。
年配の方は英語の発音が上手です。ツナ缶のツナもネイティヴの発音みたいです。
アメリカの統治下にあったからでしょうか。
【スカッチ】
なべやフライパンの焦げ落としに最適。商品の表に「スコッチ・ブライト」と書いてあっても、「スカッチ」としか呼びません。
英和辞書の発音記号を調べると[skάtʃ ]とあり納得です。
【自練(じれん)】
自動車教習所のこと。
全国では自車校(青森)・車学(新潟)・自校(静岡)と呼び名も様々あるそうですが、宮古や沖縄ではダンゼン「自練」が一般的です。
これは1972年の復帰前後、沖縄では技能検定員や教習指導員の資格を持つ者が少なかったため、教習所ではなく自動車の練習所だったそうです。
私が2002年に移住したときは、宮古・三和・大和、と人口5万人ほどの島に3つも教習所、いや自練がありました。今は宮古と三和の2校です。そのうちの1校、宮古自練で私は春休みシーズン、一年で1番混み合う時期に高校生に混じって免許を取ったのですが、先日卒業以来初めてお邪魔してきました。
「自練」という呼び方について受付の女性に尋ねると「教習所と言うように生徒に言ってるけど自練と言うのよね」と笑っていらっしゃいました。
その後、御丁寧に社長室(校長室ではない)に通され、社長(校長ではない)の砂川さんとしばしお話をさせていただきました。
私が聞きたかったのは「自練」の話ちょっとと、「3時のおやつは今も天ぷらですか?」だけなのに恐縮です。
【天ぷら】
内地のサクサクした天ぷらとは違い、衣がメインのフリッターをずっしりさせたようなおやつ的なもの。
それ自体に味があり、何も付けずに手で食べます。
野菜天ぷらはかき揚げのように分厚い衣と一体化しています。
そして魚やイカの場合は「ネタ」ではなく、「芯」と呼びます。その「芯」は棒状の同じ長さに切り揃えられ、スーパーでも売られています。パックにはもちろん「天ぷら芯」と記載されています。
私が初めてこの天ぷらに出会ったのは宮古自練でした。毎日3時のおやつの時間になるとみんなが集まっているところに、ドーンと2皿ほど出てくるのがとても楽しみでした。
今回、宮古自練の砂川社長は「宮古では天ぷらをパンピン(パンビン)とも言うよ」と教えてくれました。
そう、チヂミみたいだけどもっと具が少なくて平べったいものを、沖縄ではヒラヤーチー。それを宮古ではナビパンピン(ナビ=鍋)。
サーターアンダギーはサタパンピン(サタ=砂糖)。
やはり宮古と沖縄では食べ物の呼び方も違いますね。
今回15年ぶりに高校生達に混じって食べた自練の野菜パンピンは、とても美味しかったです。ご馳走さまでした!
では、今日はこの辺で。
あとからね~!
『参考文献』
ニコライ・A・ネフスキー 『宮古のフォークロア』(砂子屋書房 1998年)
丹野顯 『キーワードからすぐ引ける ことわざ便利辞典』(日本実業出版社 1999年)
『新英和辞典』 研究社 weblio辞書
【バックナンバー】
その1 2017年03月24日
その2 2017年03月31日
その3 2017年04月28日
その4 2017年06月30日
その5 2017年07月28日