島の植物と暮らし~ススキ 

atalas

2015年10月30日 12:00



毎週金曜日にお届けしている「月イチ金曜コラム」は、週替わりで4名のライターさんにコラムを執筆していただいておりますが、暦のいたずらで時に金曜日が5週あることがあります。そんな月は玉石混淆なゲストライターさんのスペシャルなコラムをお楽しみいただいております。
今月の第5金曜日に登場するゲストライターさんは、みゃーくふつメールマガジン「くまからかまから」を主催されている松谷初美さんです。島のなにげない暮らしの風景と植物についてのお話です。

朝晩涼しくなり、サシバも見られ、宮古にも秋が感じられるようになりました。
昨年3月に30年ぶりに宮古にUターン。四季折々(宮古にも穏やかに四季があることを実感)の宮古の自然に触れながら生活しています。
島の植物と暮らしについて、書き みーでぃびゃーてぃ うむいうーば(書いてみようかねーと思っていますので)よろしくおつきあいくださいね。
今回は、ススキについて。

【縄】
昔は(昭和30年代くらいまでかな)縄は、買うものではなく、それぞれの家で綯(な)うものでした。ススキを刈り取ってきて、乾燥させ、道路に敷いて、車にわざと引かせ柔らかくする(この道路にススキを敷いていた光景はあちこちで見られました)。そのススキを足の指で挟み、両手で綯う。途中でススキを足しながら、上にして綯っていきます。
時々、うちのおじいは、ちゅうかの水を口に含み、プーーッとかけながらやっていた。
今でも、綯う手の感触は覚えているので、すぐ綯えるかも。
綯った綱は、刈り取ったキビを縛るのに、使っていた。

【ほうき】
12月頃になると、ススキの穂が出てきます。穂が陽の光を浴びる姿は、なんともきれいです。
このススキの穂を使って、昔は柄の短い「ほうき」を作っていました。
冬休みの宿題で、なんとか作った記憶がありますが、今ではすっかり、ばっしにゃーん(忘れてしまった)。
ススキの穂を見ると、あ、ほうきと思ってしまいます。

【まーた】
サトウキビを植えた後の畑や作物を植えた後の畑の端のところなどに何か植物を結わいて立ててあるのを見たことがありませんか。
これが「まーた」です。豊作であることを願ってススキを結わい立ててあります。これには謂れがあって、下地町誌(町制二十周年記念誌)によると

「昔天女が天降って農夫と夫婦になり、その作物は特別によく実り、その家は富み栄えた。彼女は天に還る時、うちの畑にはまーたのしるしをたてるように遺言した。その畑の作物が特別によく出来たので、皆これに習ってまーたをたてるようになった」「すすきを30センチくらい切り、3本の先を結わえて地にさす風習」(抜粋)とのこと。

豊作を願ってのこととは思っていましたが、そういう謂(いわ)れがあるとは、すさったん(知らなかった)!。時代がいくら便利になり、農業が機械化されても、豊作を願う気持ちは、ゆぬぐー(同じ)ですね。畑で「まーた」を見かけると、畑の主の気持ちが伝わってきて、気持ちがシャンとなります。
今でも天女は、見守っているはずね。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。

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