Vol.7 「夏植え」

atalas

2016年09月02日 12:00



朝夕の風は少し秋めいてきたが、夏の終わりがまだまだ続いている宮古。この時季、畑ではサトウキビの夏植えをする姿があちこちで見られる。

日よけのための大きなパラソル。
その下で成長したキビを一本ずつ「押切り」を使いカットをし、種(20センチ~30センチほど)を作っている。
写真を撮らせてほしくて声をかけると近所のお姉さんだった。
種にするキビは昨年夏に植えたものも使うが、今やっているのは今年の春に植えたキビとのこと。「そのほうが若くて発芽しやすい」そうだ。今年は雨が適度に降り、台風も来ないので、すくすくとまっすぐ育ったキビになっている。
ご主人がキビを刈り、それをお姉さんが「押切り」で切る作業をもくもくとやっていた。

「押切り」と言えば、子どもの頃、カットする際に出るあまりの部分(クールと言う)をもらうのがうれしかった。長さが短く節がないので食べやすい。押切りの前に座り、クールが出るのをジッと待っていた。今でもその形を見るだけで欲しいと思ってしまうから可笑しい。
 
種は肥料袋に入れ(畑の大きさにもよるが何十袋も)耕した畑に植えていく。
最近は、機械による植え付けもあるが、手植えをする農家も。手で種を畝の中に放り、足で踏みつけ土をかぶせる。休みの日には家族総出でやる農家もある。畑を耕す人、肥料を撒く人、種を放る人に分かれて分担作業をする。暑い中での作業は本当に大変だ。

キビは宮古の一番の基幹作物。(何の「夏植え」と言わなくても宮古のほとんどの人はキビの夏植えのことだなとわかる。と思う)台風にも強く(塩害で枯れる場合もあるが)、横倒しになってもまたそこから上に伸びていく。
なんとも つーばー(強い)。

キビは昨年も豊作だったが、来る冬の収穫も豊作になりそうだ。今年はまんべんなく雨が降っているので大きく成長し、葉は、おーたうたう(青々)としている。
早朝、キビの葉にはまん丸の朝露が付いていたり、また、ガイチン(セッカ)が止まったりしている。

キビは収穫するまでに一年半かかる。この夏に植えたキビは、再来年の冬の収穫だ。
夏植えの作業は9月終わり頃まで続く。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。

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