Vol.5 「ナビガース(クマゼミ)の大合唱」
青い空に入道雲。木々の緑や海の青のグラデーションが目にも鮮やかなこの季節。
あかばな(ハイビスカス)は、次から次と花を咲かせ、木々には、すとぅむてぃ しゃーか(朝早く)から ナビガース(クマゼミ)がショーショーショーと鳴いている。
【ナビガース(クマゼミ)】
今年、最初にナビガースの鳴き声を聞いたのは6月12日ごろ、うちから1キロ半くらい南に離れた場所でのことだった。
うちの周りでも毎年よく鳴いているので、同じ日、気にして耳を澄ましてみたが、少しも聞こえない。
あれ、今年はうちのあたりにはいない?と思っていたら、3~4日後いきなり鳴き始めた。もしかしたら、この小さい島の中でもセミは南から鳴き始め北上するのか。
【イワサキクサゼミ】
宮古でセミが鳴き始めるのは3月。
日本で一番小さいイワサキクサゼミだ。
ジージージーとキビの葉や葉タバコの葉に止まり鳴く。
低いところで止まるので捕りやすく、子どもの頃はビニール袋にたくさん集めて喜んでいた(捕ったからといってどうするわけでもないのに、楽しかったなぁ)。
【ミヤコニイニイゼミ】
その次に鳴きだすのが、ミヤコニイニイゼミ。
体長2~3センチくらいで、灰色に近く、幹と同系色をしているとなかなか見つけにくかったりする。
その後、宮古の中でも一部でしか生息しないツマグロゼミが鳴き始める。青、緑、オレンジ色が入ったきれいなセミで逆さまで木に止まるのが特徴。残念ながら写真でしか見たことがなく今年こそはと思いながら、また見ることができなかった(来年こそ!)。
そして、今、ウギャスギー(モクタチバナの木)やマツギー(松の木)、キャーギギー(イヌマキの木)では、たくさんのナビガースが止まり、毎日大合唱をしている。ナビガースの地上での命は2週間ほどだそう。その鳴き声は、そこまで鳴くかと思うくらい生きる迫力に満ちている。
その鳴き声を聞きながら、悠久の歴史の中では、人の命の長さもだいず短くてセミに負けないくらい鳴いて生きているのだなと感じる。
夏本番。ナビガースの大合唱が続く。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。
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