Vol.24 「ウギャスギーとフギャン」

atalas

2018年04月27日 12:00



太陽の光が降り注ぎ、花々は鮮やかに色づいて舞う蝶も美しい。気持ちのいい季節だ。
私が子どもの頃、実家の前の道添いには、ウギャスギー(モクタチバナの木)がたくさん植えられていた。
ウギャスギーには白い小さな花がたくさん咲き、それが終わると小さな実が生る。その実を男の子たちは、鉄砲の玉に見立て、竹で作った筒に入れて押し出すように飛ばし、女の子は、ままごと遊びに使った。

家の前の道は、私道で車の往来がなく、そこでゴザなどをひいてままごとをして遊んだ。
アカバナ(ブッソウゲ)の葉にしおれた赤い花を巻き、刻んで葉っぱの皿に並べたり、ウギャスギーの実は、みそ汁の具にしたりした。
しかし、この季節になると、ウギャスギーの葉には、フギャン(イラガの幼虫)がいて、注意が必要だった。フギャンは薄緑色をした毛虫で、これに刺されるとひどく痛み、腫れる。

ウギャスギーの葉は、フギャンの大好物らしくその数たるや葉っぱの数いるかと思うほど。
男の子も女の子もフギャンは怖くて嫌いなのだがなぜか、気になる。おそるおそる、葉ごと木から取り、わざわざフギャンを見たりする。そして集める。これだけ集めたと見せあう。何のためだ(笑)。
また、フギャンを自分の腕にたくさん乗せて平気な顔をした剛の者もいた。(叔父であるが)なぜか叔父は、フギャンに刺されないらしく、どこもなんともない。ぴるますむぬやたん(不思議なことであった)。

実家の前の道は現在はないが、ウギャスギーは少し残っている。そして、昨日フギャンを発見した。
おおー、いたか!。何十年もウギャスギーで命は繋がれていたのだと思うと感慨深いものがあった。

それにしてもフギャンとは、すごい名前だ。
語源は知らないが、日本語の「驚いたことを認める」という意味の「ぎゃふん」からきているのか??。
音の入れ替えがあり変化したのか??。はてさて・・・。

ともあれ、この時季、ほかの虫も活発だ。
小さな虫でも結構毒をもっているので気を付けよう。
松谷 初美(まつたに はつみ)
1960年生 下地高千穂出身
2001年より、宮古島方言マガジン「くまから・かまから」主宰
30年住んでいた東京から昨年Uターン。現在下地に住んでいる。
毎日が新鮮。宮古の魅力を再発見中。

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