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2015年09月22日

第49回 「世界初の本格的地下ダム」

第49回 「世界初の本格的地下ダム」

勝手な縛りで続けて来た水シリーズも、そろそろエピローグへ向けてカウントダウンと参りましょう。今回ご紹介する石碑-いしぶみ-は、城辺の皆福地下ダム公園にある「世界初の本格的地下ダム」と刻まれたモニュメントです。
第49回 「世界初の本格的地下ダム」
国道390線号沿いに位置する皆福地下ダム公園は、1998年に完成する福里地下ダムの建設を前に、実証実験用の地下ダムとして1978年に建設された皆福地下ダムの直上に作られた、ダム管理施設を兼ねた完成記念公園です。
もちろん、現在も皆福地下ダムは福里ダムの副ダムとして使用されており、地下ダムの様子を地上からうかがい知れる公園にもなっているのです。

第49回 「世界初の本格的地下ダム」まずは皆福地下ダム公園の雰囲気をご覧ください。
赤瓦風のタイルを使って、躍動感ある宮古の伝統舞踊「クイチャー」を表現したダム施設があります(ここの他にも斜面にコンクリートを吹き付けた法面でも踊っています)。施設は無人で中からはいつもウインウインと謎の機械音が聞こえてきます。

この施設のフェンス脇に「地下ダム軸跡」というプレートが貼られ、その手前の石畳にはニョキニョキと怪しい円柱状の構造物が地面から生えています。
第49回 「世界初の本格的地下ダム」ここを歩くには足元を見ながらでないと危険なレベルの石畳が、ここから真っ直ぐに数メートルほど続いています。実はこれ石畳の遊歩道とかではなく、地中に水を堰き止めるための止水壁が築かれているのです。
地上式のダムで云うところの止水壁の天頂部にあたります(写真右側の地下に水が貯まっていることになります。といっても、水を含みやすい琉球石灰岩の地層に地下水を留めているので、地下に湖が広がっている訳ではありません)。

この公園は高い土木技術によって建設された地下ダムの構造や、大海原の只中に浮かぶ孤島であり、山がなく川のないる宮古島の貴重な水資源についての歴史などが学べる(石碑風)パネルがいくつも用意されていましたが、
第49回 「世界初の本格的地下ダム」残念ながら長年の厳しい自然環境に負け、もはやそれを読むことがかないません(基本的に完成したら途中で補修するという概念がない)。
また、2003年に隣の福里ダムに地下ダム資料館が出来たことでこの公園の良さを顧みられなくなってしまいました。

宮古島市地下ダム資料館(民間の観光案内情報サイトより)
※市役所HPでの地下ダム資料館の案内はこちら

そんな残念な感じは公園全体にも波及しています。たとえば謎の石(人頭税石風の琉球石灰岩)がいたるところからごろごろと突き出している庭園?には宮古馬と宮古牛(?)がいます。もちろん作り物のフェイクです。取材時はちょうど雑草の刈り取りが終わったばかりのタイミングだったので、このように像の全身が見えていますが、草がボーボーに茂っている頃だと、ついつい二度見してしまいたくなる素敵なオブジェとなっています。
この他にも色々と突っ込みどころのある“楽しい”公園なのですが、最大のポイントはこの企画のメインとなる石碑だったのでした。
第49回 「世界初の本格的地下ダム」第49回 「世界初の本格的地下ダム」
冒頭で「世界初の本格的な地下ダム」の完成を記念したモニュメントを紹介したが、この石碑はなんと池というか円形の噴水(未稼働)の中心にあるのです。
近づくには模造の橋を渡ってゆくのですが、なんとこれが途中まで(内側の石環)しかなく、石碑のある島には渡れない構造になっています。
その石碑をよく見てみると、台座部分は宮古島の島の形を模していることに気づきました(冒頭の画像を参考。島の向きが実際の方位と合致している)。しかし、立体的な碑の下に敷かれた平べったい宮古島は、近づくことも出来ないのでとても視認しづらく、これに気付く人はなかなかいないかもしれません(もっとも公園に人がいたのを見たことがありません)。
第49回 「世界初の本格的地下ダム」第49回 「世界初の本格的地下ダム」
なんとなく池を一周してみると、衝撃の展開が待っていました(ある意味オチです)。
石碑の裏に「くつろぎと創造」と題された謎の彫刻が隠されていたのです。
しかも、なんともいえぬ表情とポーズをとっているところに、うまいこと草が生えており、作者の創造を越えた作品が誕生していました。
第49回 「世界初の本格的地下ダム」




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